――たしかに、SNSで流れてくるマンガの広告はついクリックして読んでしまいます(笑)。
坪井 広告はとにかくわかりやすさが大切です。それはマンガの制作現場にも伝えていて、なるべく序盤に推しポイントを凝縮してもらっています。逆に言えば、TVアニメ化や映画化が続くような超ヒット作であっても、SNS広告に適したコマがあるかどうかは実は別問題だったりするんですよ。
――広告的に映えるコマ、はどんなポイントがあるんでしょう?
坪井 令嬢系のキラキラの世界観や、王子様のかっこよさがストレートに伝わるコマが王道です。あとは、主人公が水をかけられたりドレスを破られたりするようなイジメられている場面も目が止まりますよね。
――よく見る気がします!
すず木 かっこいい王子様が真っ赤になって照れながら「どうしたらいいんだ俺は」と溺愛モードに入る瞬間は何度見てもいいですよね。あとは定番ですけど「君と結婚したい」というプロポーズのシーンもよく見る気がします。
おじ様キャラ、年下、主人公より身分が低い男性は苦戦しがち
――逆に、いけると思ったのに人気がでなかった設定などもあるんですか?
坪井 私が過去に手掛けた作品では、契約結婚の相手が年上のおじ様キャラの作品は苦戦しました。物語の内容も相手役のおじ様も本当に魅力的だったんですが、読者の反応はほどほどでした。他にも男性がかなり年下だったり、主人公より身分が低かったりする作品も苦戦することが多いです。広告で気になってもらうことを前提に考えると、分かりやすい王道設定の方がやはりクリックされやすいですね。
――女性の欲望の本音を見透かされているような感じがしますね……(笑)。令嬢系漫画の潮流は今、どんなところに向かっているのでしょうか。
坪井 最近はキラキラのヨーロッパ風の世界観が飽和してきて、中国風や和風令嬢ジャンルは大きく成長しています。「わたしの幸せな結婚」などが代表作でしょうか。舞台は明治から大正時代あたりで、着物や日本家屋などの舞台装置を使った溺愛、契約結婚系が流行りはじめています。
すず木 「もうさすがにパターンはないだろう」というところから何度もブレイクスルーをしてきているので、新しい設定が生まれるのを楽しみにしています。