立教大学で反発があった「10時半消灯」
立教大学では朝練習の充実を図るために、2022年度から消灯時間が設けられた。立教は20年の春に長距離ブロックの寮が出来たばかりで、いまだに寮則などを作っている段階だ。立教新座高校出身のミラー千本真章前主将は、他の4年生幹部とも話し合って消灯時間の導入を部員たちに提案した。
「意外に思われるかもしれませんが、門限はありましたが、消灯時間は決まっていなかったんです。早めに寝る人もいるけど、夜10時半くらいに洗面所に歯磨きにやってきて、話している人もいたりして。朝練習を充実させるためには、しっかり寝た方がいいに決まっているので、10時半消灯を提案しました。そうしたら、下級生たちからものすごく反発がありました」
立教は大学の校歌にも「自由の学府」とうたわれているように、自由を尊ぶ校風がある。個性の強い下級生たちは新たなルールが決められることに反発した。
「『強豪校と同じことをして意味があるんですか?』とか、いろいろな意見が出てきました。そんなこと言っても、強豪校と同じことをしないと強くなれないのもまた事実ですし(笑)。でも結局、2、3年生は受け入れてくれて、個人的には朝練習の質が上がったと思います。ただし、下級生の言いたいことも分かるんです」
ガス抜きしつつルールを増やし、練習の質を高めた結果
その原因はやはりコロナ禍だった。2020年、21年に入学してきた学生たちは、かなり行動が制限された状態で大学生活をおくらざるを得なかった。授業はオンライン、そして外食は極端に制限された。せっかく大学進学で立教に入ったというのに、合宿所と大学の往復がせいぜいで、あとは淡々と走るしかなかった。
「不満は溜まっていたと思います。いろいろ突き上げがあったなかで、ひと月につき2回まで事前申請をして認められれば、門限を遅らせることも出来るようにしました」
ミラー主将が採ったのは、ガス抜きをしつつも、ルールを増やしていき、練習の質を高めるというものだった。その結果、2022年10月に行われた箱根駅伝予選会で立教は55年ぶりの出場を決めた。
「結果が出て、本当に良かったです。僕たちは卒業しますが、後輩たちはこれまでのやり方を参考にして、より立教を強くしてくれると思うので」