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厳格な門限を定めた青山学院大

 門限の運用は、各大学によって様々だ。高校生のなかには、「門限を遅らせられる日があるのなら」ということで、大学を選ぶ選手もいる。

 一方、厳格に運用しているのは青山学院大だ。門限時間は、どんなことがあっても絶対厳守。学生たちがよく使う小田急線が遅延したとしても、認められない。だからこそ、学生たちは都心に出かけていたとしても、余裕をもって町田までは帰ってきている。私が知る限り、門限を破る学生は皆無に近い。

2023年出雲駅伝を走る黒田朝日選手

 2023年度の志貴勇斗主将、そして1年生から主力として活躍してきた佐藤一世に「他の大学では、特例があるみたいですね」と話すと、「羨しく思うこともありますが、青学には青学の良さがあるので」と言っていた。青学大はその感情表現から自由奔放に思われがちだが、厳しい寮則のもとで強さを生んでいる。

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寮内のルールが安定している学校は強い

 私の印象では、寮内のルールが安定している学校は強い。取材で興味深かったのは中央大学のケースで、藤原正和監督がやってきてから、幹部の代替わりのたびに寮則について話し合いが行われてきたという。決まらないまま数か月が経過してしまうこともあったらしい。それが落ちついたのは、2021年度の井上大輝主将の時だったという。必要なことを洗い出し、あまり時間をかけずにルールが決まった。するとこの年、中大は久しぶりにシード権を獲得した。2022年度の若林陽大主将は、「基本的に井上さんたちが決めたことを踏襲しました」と言い、練習以外のことに労力を割かれることなく、早い段階から強化に取り組めたことが結果につながったのではないか、と話していた。

 レースでは見えない部分だが、部内のルールがどのように運用されているかによって競技力にも多少の影響が出るのは避けられないようだ。

 大学生だからこそ、自由を謳歌したい。それでも、速く、強くなるためにはルールも必要である。自由と規律。それは学生だけではなく、人間にとって永遠のテーマなのかもしれない。