人との会話の最中でもスマホをチェックする、みんなで集まっているときにスマホからメッセージを送ってしまう……。そんな風にスマホから片時も手を離せない人を見たことはないだろうか。彼らの振る舞いについて、アメリカではphone(電話)とsnubbing(冷たくあしらう)を組みあわせた「ファビング」という名称が広がっている。
デジタルに依存し続ける生活への後ろめたさからスマホ断ちを決意する人もいるだろう。しかし、情報社会に生きる私たちにとってスマホを手放すことは簡単ではない。それでも、スマホ断ちには意義があると語りかけるのがキャサリン・プライス氏だ。ここでは、同氏の著書『スマホ断ち 30日でスマホ依存から抜け出す方法』(角川新書)の一部を抜粋。実際にスマホ断ちをするうえでの心構えを紹介する。(全2回の2回目/1回目に続く)
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TSM(他人のスマホ問題)への対処方法
ファビングの対処が厄介なのは、自分のファビングが減るほど他人のそうしたふるまいが目につくようになる点だろう。
友人や同僚、クラスメイトと食事に行ったときは、特に対応がむずかしい。自分のスマホはバッグのなかでも、相手のスマホはおそらくテーブルに出ているからだ。
自宅にゲストを招く場合は、玄関を入ったところにかごを置き、そこにスマホを入れておこうと提案してはどうだろう。最初は変人扱いされるだろうが、終わるころにはゲストのほうでも、この約束ごとを取り入れようと考えだしているかもしれない。
外にいるときなら、自分のスマホはテーブルに出さないようにしたうえで、チェックが必要になった場合には、相手に確認をとるようにするのだ――「いま、この電話に出てもいい?」というように。相手はきっと呼吸をしてもいいか、と断りを入れられたかのように怪訝な顔をするだろう。
そこで、ここぞとばかりに意図を説明しよう。ファビングする側にならないようにするためだ、と。これがきっかけになって、きっとおもしろい会話ができるだろう。さらには、その友人が次にスマホを取り出すときに、周囲の目を多少意識することにもつながるかもしれない。