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 そうした行動をとるのは、最初はわざとらしくて不自然に感じるかもしれない(たしかに慣れるまでは無理やりそうすることになるので、不自然さがあるにちがいない)。けれど、スマホをテーブルに出さないことが一度習慣になれば、そこからは相手に失礼なことはしたくないという本心からの言動になるはずだ。

 親しい友人と過ごすときなら、これを内輪の約束ごとにするという手もある。私と友人たちのあいだでは会話中にスマホが必要になると、冗談めかして「スマホ使用のお許しを」「認めよう」と言いあうのがふつうになっている。このちょっとしたやりとりで、全員が同じ認識をもっていることや、ファビングされたと感じる人がいないかを確認しあっているのだ。

あなたが親、上司、教師の場合

 自分のほうが立場が強ければ、人のスマホ問題でも対処が少し楽になる。前述したように夕食の席をスマホ禁止ゾーンに設定するのも、ファビングを減らすひとつのやり方だ。自分がどういう立場かにもよるが、同じように会議や授業の時間をスマホ禁止にしてはどうだろう。

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 うちの子供たち/部下/生徒に全面禁止は無理だと思うなら、食事や授業、会議の途中でスマホチェックができる1分間の“テック休憩”を提案する手もある。これはテクノロジーの心理的影響研究の第一人者、心理学教授ラリー・ローゼンがすすめるテクニックだ。ローゼンは、スマホが注意欠如・多動症(ADHD)や強迫性障害(OCD)などの精神疾患の症状を引き起こす背景について解説した、『毒になるテクノロジー』〔児島修訳、東洋経済新報社、2012年〕の著者である。

 ルール決めでいちばん大切なのは、あなた自身もそれに従うことだ。子供たちには夕食の席でのスマホチェックは禁止だと伝えながら、自分だけおかまいなしに手もとにスマホを置くような、嫌な大人にならないように注意しよう。