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 あたしの場合はツケでは飲みませんが、毎日、安くはない酒代が出ていきます。たまに、コンビニとかで買ってきて、家で飲んでりゃいいじゃないという人がいます。別に酒場へ行く必要はない、もったいない金を払ってると。まぁ、酒飲みじゃない人には不可解なんでしょう。

テレビをボーっと眺めて飲むのだって楽しみ方の一つ

 確かにアルコールを摂取するというのが楽しいというのなら家で飲んでてもいいわけだし、コンビニかなんかでお酒を買ってきて、公園で飲んでりゃいいわけですが、酒場で飲むというのはそういうことじゃないんですね。酒場を楽しんでるんですよね。つまり酒場というのはプラスアルファがあるわけです。

酒場にはプラスアルファがある ©getty

 それは何かというと、空間を楽しんでいることだと思うんですね。その空間の先に何があるかというと、店主や常連とする会話だったり、一緒に行った友人との馬鹿話だったり。高い金を払うのは何かというと、それを楽しんでるのであって、酒を飲むという行為だけを楽しんでるわけじゃないんです。

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 あるいは会話もなく、蕎麦屋や町中華で一人で飲んでる人たちにしてみれば、蕎麦やラーメンや新聞を肴にしていたり、テレビをボーッと眺めて飲んでいたりする。

 それもひとつの酒場の楽しみ方で、そういう人たちは、言いかえれば自分の家で飲んでる酒と比べるとうまいと感じるんでしょうな。その空間にいるというプラスアルファを楽しんでいるわけで、それに見合う対価を払ってると思うと安いもんだという考え方なんですよね。

 空間や、そこで過ごす楽しい時間。その空気にお金を払ってるわけです。