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「また拝見させて」→「まら拝見」、「叡智がすごい」→「Hがすごい」、「梅祭」→「埋め祭」…辛酸なめ子の“誤変換・入力ミス事件簿2023”

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル, テクノロジー

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「今朝」と打ったら「袈裟」と出て、しめやかな気持ちになったこともありました。「仮装大賞」と打ち込もうとしたら「火葬対象」と出てきて軽い恐怖を覚えたり、「視察したい」が「刺殺したい」になったり、「梅祭」と入力しようとしたら「埋め祭」になったりすると、自分の深層心理にある猟奇的な一面があぶり出されたのかもしれない、と思えてきます。何度変換しても「歴史」が「轢死」になった時は、霊的な存在に訴えかけられているのかと思いました。「車」と打とうとしたら最初に「陣」と出た時は、平安時代の雅なヴァイブスを感じました。「有限会社」が「幽玄会社」になったり、「入館」が「入棺」になったり、この手のオカルティックな誤変換はあとを絶ちません。

不吉なフラグ的な変換で、ちょっと怖かった体験もあります。「仕事」と打とうとして「死事」に変換された時。その直後に駅の階段で足を踏み外しそうになりました。見えない負のエネルギーが変換に影響を与えているのでしょうか。反対に、不穏な変換が出てきたら気を引き締めることで、大難を小難に抑えることができるかもしれません。

「イベントご盛況のことと…」→「イベントご逝去」

逆に、運気やメンタルが上向いている時は、それが変換に出ることがあります。例えば、「事前」が「慈善」になったり、「口説く」が「功徳」になったりすると、ポジティブなスパイラルに入っていけそうです。募金した直後に「展開」と入力しようとしたら「天界」と変換された時は、神様の視線を感じました。

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誤変換とはまた別に、予測変換候補というジャンルもあります。こちらは、自分がよく使う言葉が候補に入ってくるので、その人の思考や精神状態が見えてくることがあります。

以前,電車の中で女性のスマホがチラッと見えて、「フ」と入れたら「フィナンシェ」「フィアンセ」など幸せな単語が並んでいたので、きっとリア充な方なのだと想像しました。私の場合、以前、「しん」と入力しかけると、なぜか「死神」とか、聞いたことがない「死神待ち」という不気味な単語が候補に並ぶ時期があり、しばらく怯えて過ごしました。