二つ目は、母から娘への「私をケアし関心を向けて」という強烈な気持ちです。
息子をケアし関心を注ぎ込む母は少なくないですが、彼女たちは息子からの見返りはそれほど求めません。しかし、どういうわけか、娘に対しては「あなたのために」と言いながら、実はケアされることを求め続けるのです。
娘が思春期を迎えても、「あなたをよくわかっているのは母だけ」「なんでもお見通しなんだから」といったメッセージを発することで、その世界から外に出ることへの罪悪感を抱かせ、振り向かせようとします。
団塊ジュニア女性たちの凄いところ
『母が重くてたまらない』の出版から15年、団塊世代の母親たちは高齢化し、団塊ジュニア世代の女性たちにとって「墓守」は現実のこととなってきています。
今の団塊ジュニア世代を見ていると、母と縁を切って自分の人生を歩んでいる人もいれば、「やっぱり親の面倒を見よう」と選択して、適切な距離の取れた介護ができている人もいます。
私が団塊ジュニアの女性たちを凄いと思うのは、彼女たちが自分と同じ母娘関係を再生産しないよう、努力してきたことです。当時、カウンセリングの現場でも、「母のことが苦しいが、私も自分の子どもに同じことをしないだろうか」という相談は本当に多かった。
そんな彼女たちの努力のおかげで、今の若い世代には「私の幸せを一番に考えて、何が悪いの」と考えられる女の子たちが増えてきていると思います。そんな若い世代の女性たちを改めて名付けるなら、家に縛られず、自分を大切にした生き方が身についている「墓じまい娘」でしょうか。