大量殺人事件であるとの認識で、立証できるものから順番に
そうした金子氏からの報告を受けた牧野氏もまた、当初から大量殺人事件であるとの認識はあったようだ。
「清美さんはかなり早い段階で、お父さんを含めて全員が殺されてるという話をしているわけで、その話には信ぴょう性があり、これはもうそこまで絶対に広がるぞ、との思いはありました。だから、どのタイミングで、どの事件からやっていくのか。どういう立証ができ、それぞれの事件について立証できるのか。それはもうきっちり見ましょうっていうことが、スタート地点からのスタンスです。だから、そうすると、まずは立証が完全なものというか、できるものから順番に、という形になるわけです」
松永と緒方については、以下の順番で起訴が行われている。
02年3月29日 広田清美さんに対する監禁致傷罪
4月25日 原武裕子さんに対する監禁致傷罪
6月7日 原武裕子さんに対する詐欺・強盗罪
10月8日 緒方花奈ちゃん(緒方の姪)に対する殺人罪
11月2日 緒方孝さん(緒方の父)に対する殺人罪(*後に傷害致死罪の判決)
12月27日 緒方和美さん(緒方の母)に対する殺人罪
03年2月1日 緒方佑介くん(緒方の甥)に対する殺人罪
2月23日 広田由紀夫さん(清美さんの父)に対する殺人罪
3月18日 緒方智恵子さん(緒方の妹)に対する殺人罪
6月20日 緒方隆也さん(智恵子さんの夫)に対する殺人罪
殺人事件の被害者のうち、佑介くんは5歳、花奈ちゃんは10歳だった。
「抵抗できない子供2人が亡くなってるじゃないですか。そこはもう、絶対に許せないという思いはありましたね。ただし、誰の遺体も残っていないという点で、かなり厄介な事件であるとは思っていました」