まずテレグラムに登録し、コダム部屋に入室したが、驚いたことに、成人認証などの入室制限は一切なかった(テレグラムは設定によって加入時の電話番号を非表示にしたり、名前も好きなように変更したりできるため、個人情報は公開されない)。
何のリスクもなくコダム部屋に入室すると、最初に「お知らせ」が目に入った。チャットルームが1番から8番まであることや、そのルームの中でだけ見られるという動画についてのレビュー、動画に出てくる女性の個人情報などが簡単にまとめられていた。これら番号のついた8つのチャットルームで、何かが起こっているに違いなかった。
ルーム参加者に「兄貴」と呼ばれる運営者「ウォッチマン」
コダム部屋だけでも、すでに1000人ものテレグラム会員が匿名で入室していた(2019年7月15日午後10時現在)。彼らは盗撮データに関するあらゆる情報を共有し、女性を人間ではない単なる「商品」として扱うような会話を休みなく続けていた。1時間でやりとりされるトークは、軽く1000件を超えていた。2時間ほど様子をうかがっていると、このチャットルームの特徴をある程度つかむことができた。
コダム部屋の管理人はAV‒SNOOPブログの運営者である「ウォッチマン」で、彼はルーム参加者の間で「兄貴」と呼ばれていた。
「テレグラムにノーマルなものを見にくる奴はいないだろう。普通のAVを見たいなら、いっそ日本のサイトでも漁ってろ」
「そうだそうだ。テレグラムは児童ポルノを見にくる場所だぞ」
私たちが入室したあとも、参加者の数は増え続けた。
「元カノのカカオトークのID、流していい?」
元恋人の個人情報を公開する参加者もいた。チャットルームの参加者たちは、「IDなんかいいから、(性行為の)動画を流せよ」とけしかけた。
派生ルームでは児童の盗撮画像や残忍な動画が共有されていた
彼らの最大の関心事は「n番部屋」だった。ウォッチマンはn番部屋にいる女性の名前、学校、クラス、評価を定期的にアップし、参加者の関心を煽った。いわゆる「n番部屋会員」たちは、主にコダム部屋でn番部屋の女性たちを対象とした品評会を開催したり、「○○の学校に行こう」などと強姦を計画したりもした。
コダム部屋は面倒な手続きなしに入室できるので、誰かがアップした盗撮データが通報されるとチャットルームが閉鎖される恐れがあり、そうなるとn番部屋への入口がふさがってしまう。そこでウォッチマンは、コダム部屋にアップされた性的搾取物や盗撮データを直ちに削除し、そのメンバーを強制退会させるなど、秒単位で徹底的に管理していた。