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映画のラストシーンに話題が集中

「イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件」を基にした映画『あいつの声』の上映が始まると、韓国ではラストシーンの演出に話題が集中した。なんと、実際の犯人の声が使われたのだ。観客は「この残忍な犯行が現実に起こったことなのだ」と実感しながら映画館を後にした。

 また、映画の製作会社は映画公開後、電話で犯人の声が聞ける音声自動応答サービスを開始し注目を集めた。1日平均3000件、最大では1日3万件以上の電話が殺到し、一時は回線がパンクする事態にもなったそうだ。

「イ・ヒョンホ君誘拐事件」を題材にした映画『あいつの声』

 映画を観てこの事件に興味を持った観客が、犯人逮捕に協力するべく証拠となる声を聞きにかけてきたのだろう。

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(3)少年たちが神隠しのように消えた「カエル少年殺人事件」

 韓国三大未解決事件の最後となるのが「カエル少年殺人事件」だ。インパクトの強いネーミングであるが、その由来は5人の少年がサンショウウオの卵を探しに出かけた後、行方不明になり、サンショウウオがカエルに誤解されて広く伝わってしまったからだという。

 1991年3月26日、大邱(テグ)市に住む小学3年生から6年生の5人の少年が突然姿を消した。当時、全国で情報を呼びかける様々なキャンペーンも行われ、35万人を超える警察と軍人を動員し捜索したが、子どもたちは見つからず捜査は難航した。

 そして、なんと事件から11年後、2002年9月に建築現場の裏にあった山の中腹で突如、5人の白骨死体が発見されたのだ。

死因について今も続く議論

 神隠しのように消えた少年たち、そして突然発見された5人の白骨死体……。その後も事件をめぐる論争は終わることがなかった。まず、警察は事件ではなく「死因は低体温によるもの」と発表するも、検死を行った慶北大学法医学チームは、頭蓋骨に損傷の痕があることから「殺害された可能性が高い」と主張した。

 この議論は今もなお続いている。2022年に国民日報社が出版した『子どもたちはなぜ山に行ったのか?~カエル少年殺人事件30年の追跡』では、「殺害された可能性は極めて低く、体温低下による事故死は確実だ」と論じ物議を醸している。この報道は、一部から批判の声が寄せられた。