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【7区】吉居兄弟と安原兄弟の「兄弟給水」…給水の物語化が加速

 7区では駒澤大の安原太陽・海晴、中央大の吉居大和・駿恭の「兄弟給水」が話題となりました。

 以前からも意外なキャスティングで給水が話題になることはありましたが、はっきりと変わったのは2020年でしょう。中央大の大森太楽選手に給水をする田母神一喜選手を紹介するテロップが出たと駅伝ファンの間で話題になりました。

 そこから日本テレビも給水要員をしっかりチェックしディレクター、アナウンサーにも共有されるまでに。今回の中継でも多くの給水担当が紹介され、給水にもドラマがあることを多くの人が知るところとなりました。

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 安原太陽選手と吉居大和選手は共に4年生で、最後の箱根駅伝。これまでも家族や親戚から「将来は兄弟で箱根駅伝で襷渡しができるといいね」と言われながら育ってきたことでしょう。本人たちも兄弟で襷渡しをしたかったと思います。でもそれが叶わなかったときに、兄弟での給水が実現した。今大会から給水ははっきりと箱根駅伝のコンテンツのひとつになりました。

7区で「兄弟給水」を見せた中央大・吉居大和(左)と弟の駿恭 ©EKIDEN NEWS

しみじみと感動を呼ぶ給水は4区にも

 4区では中央学院大の黒岩勇禅選手に、同じく中央学院大陸上部出身の父、弘樹さんが給水をしました。元陸上部員とはいえ、1km3分を切るペースで走る息子に、声をかけながら並走するというのは、並大抵のことではありません。お父さんも箱根に合わせてきたんだな、と感動しました。

 そして彼らの姿を見て、箱根駅伝っていいなとしみじみ感じました。だって、もし僕が上級生だったら、「俺が給水してテレビに映りたい!」ときっと思うはず。でも選手が本当に力をもらえる人を給水担当にできるムードがあって、その情報を日本テレビがしっかりと把握して、みんなに紹介してくれる。この連携こそ箱根駅伝の醍醐味だと思います。

 この縁は実業団になってからも続いていきます。吉居選手は卒業後、TOYOTAで競技を続けることになっていますが、弟も同じTOYOTAにいくのかなど、この給水がさらなる物語の始まりとなる。っていうかみなさん今年のニューイヤー駅伝どこが勝ったかご存知ですか? TOYOTAなんですよ。田澤廉も吉居大和もいるTOYOTA。魅力的じゃないですか。だから来年は箱根だけじゃなく元旦のニューイヤー駅伝もぜひ見てほしいですね。