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駅の北に5分ほど歩くと雰囲気が変わってきた

 ただ、現代的なベッドタウン然としているのは、南口のほうだ。北口に歩いて行くと、少し雰囲気が変わってくる。

 姪浜駅高架下の自由通路を抜けて北口に出ると、こちらにはまっすぐ北に延びる並木道。絵に描いたような駅前の目抜き通りだ。この道を辿ってゆくと、明治通りという名の大通りに出る。東から西へと走る大通りだ。

 
 

 さらに、明治通りから北側に入ると、細い路地が入り組んだエリアに変わる。整然とした街路が特徴的な南口とは大違い。姪浜住吉神社という古社もある。

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 実は、姪浜の古くからの中心は駅前から北に5分ほど歩いたこのあたりだ。明治通りには地下鉄やバスに置き換わる前の福岡市内交通の主役を担っていた路面電車が走り、姪の浜停留所が置かれていた。

 

 その一筋北、住吉神社のある路地は、かつての唐津街道だ。唐津藩の参勤交代、また福岡藩士が長崎の警備に向かう際に使っていた街道で、姪浜には宿場が置かれていた。

 つまり、姪浜の町の興りは、唐津街道の宿場町にあったというわけだ。いまの地下鉄空港線とJR筑肥線は、全体で福岡市と唐津市を連絡する役割も持つ。そういう意味では、唐津街道が鉄道に置き換わっただけともいえる。

 そして、その中継点である姪浜が昔は宿場、いまは地下鉄とJRの境界として賑わっている、というわけだ。街道から路面電車へ、そして鉄道へと移り変わる過程で町の中心が少しずつ南に広がってきた。