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スイス生まれの「On」は駒澤大・佐藤選手に注目

 ひとつの例が今大会で3人が着用したOnです。Onはトレイルランから始まったスイス生まれのブランドですが、近年は陸上競技にも力を入れていて、世界中にブランドのファンを増やすため、「OAC」(On Athletics Club)というトップアスリートチームも結成しています。そのOnが駒澤大学の佐藤圭汰選手に注目をしたのです。

Onのシューズを履いて3区を走った駒澤大の佐藤圭汰 ©️AFLO

 昨年は佐藤選手がOACの合宿に参加。そして今回、OACのマネジメントトップとトレーニングコーチ、Onのシューズ開発担当者の3人が本国から箱根駅伝の視察のために来日したのです。ここで彼らは箱根駅伝の特徴やマーケット規模などを分析し、製品へとフィードバックしていくことでしょう。

箱根駅伝の視察にやってきたOnの3人 ©️EKIDEN NEWS

 箱根駅伝はアップダウンも多く、コースのサーフェスも様々なので、プロトタイプのテストにもってこいというのも、メーカーにとってはポイントでしょう。ここで得た情報が、どのようにシューズに生かされてくるのか。もしかしたら日本仕様のモデルも発売されるかもしれません。これからのOnは面白くなると睨んでいます。

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アディダス史上最軽量シューズも箱根に

 もう一つ注目は、アディダス史上最軽量の「アディゼロ アディオス プロ エヴォ1」が箱根に投入されたことです。このシューズは世界記録を狙うようなトップ選手に提供されるもので、普通に考えたら大学生が国内レースで履くようなものではありません。

アディダス史上最軽量「プロ エヴォ1」を履いてベルリンマラソン2023で2時間11分53秒と世界記録を大幅更新したエチオピアのティギスト・アセファ ©️EKIDEN NEWS

 それが投入されたということは、箱根駅伝にはそれだけの価値や話題性があるとアディダスが考えている証です。実際、箱根駅伝よりも高いレベルで競われるニューイヤー駅伝で履いている選手はいませんでした。

 さて、この2社がぶつかったのが今大会の3区です。新興勢力であるOnのプロトタイプを履いた駒澤大の佐藤圭汰選手と、メガブランドが技術を結集して作ったエヴォ1を履いた青山学院大の太田蒼生選手。今回は太田選手に軍配が上がりましたが、次の戦いはどうなるのか、今から楽しみで仕方がありません。

 さらに付け加えると、中国の陸上マガジンの編集長がニューイヤー駅伝と箱根駅伝の取材に来ていたことも駅伝の国際化を物語っていました。北京では箱根駅伝のイベントも行われているほど駅伝はポピュラーだそうです。こんなに人気があるのなら、ネットフリックスなどで配信すれば、放映権料で優勝賞金をどーんと出せるでしょうし、各大学も嬉しいのではないかと勝手に考えています。

 さて、着用シューズに話を戻しましょう。