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町並みで目につく“あるもの”が示していること

 館山の町は、海の近くのスナック街や駅東側の小さな市街地を除けば、ほとんどが住宅地だ。

 高層マンションのようなものはほとんど見当たらず、だいたいが一戸建ての古い住宅地。入り組んだ路地の中に入ってゆくと、生け垣で囲われた住宅地の中を歩くことになる。その生け垣は、千葉の“県の木”でもある槙が使われているのが特徴だ。

 

 なんでも、槙は塩分や砂地に強い木なのだという。海沿いで砂丘台地の上に広がる館山の町にはうってつけの生け垣なのだろう。館山をはじめとする南房総に見られる槙の生け垣は、「ちば文化的景観」にも認定されているそうだ。

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 だから、というわけでもないが、入り組んだ路地のほかには取り立ててみるようなものもない。静かに、確実に人々の暮らしが営まれている町だ。

 観光シーズンでもないから、観光客の姿を見かけることもほとんどなかった。いくら温暖な南房総とはいえ、やっぱり海水浴の町。いちばん賑やかになるのは、ヤシ並木を海水浴客が歩く真夏なのだろう。

 

“暖かい”とよく聞く南房総ですが…

 で、肝心のお話。南房総は暖かい、などといいますが、海が近いおかげで風が強く、まったく暖かいとは思いませんでした。

 よくよく調べてみると、確かに南房総は沖合に黒潮が流れていることもあって気温は高めだが、それが反映されているのはどちらかというと夜や朝。最低気温が東京などよりちょっとだけ高く、霜がおりることがほとんどないのだとか。

 そんなわけで、駅前の海沿いの南国ムードを素直に受け入れきれなかったのは、やっぱり寒かったからだ。冬は、家に引きこもっているのに限るのである。 

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