「寒い……。布団から出たくない、出られない……」
冬の布団内とは、まごうかたなき極楽であると同時に、まともな社会生活を送る気概を阻む魔空間でもあります。
さて毎年冬本番になる頃、ネットをざわつかせるのが、「掛け布団と毛布のいちばんあたたかいかけ方は?」といった話題。気象庁によれば、2023~2024年の冬は、気温の高くなる地域が多いとの予測でした。でもいくら暖冬であっても冬は寒い。明け方、冷えで目が覚めてしまうことほど不幸なことはありません。
いったい、快適に眠るにあたっての「布団と毛布のいちばんあたたかいかけ方」には絶対的正解はあるのでしょうか? あるならどのような方法になるのでしょうか?
室温は18度以上に
「そもそも論として、寒い部屋で寝ないでください。冬でも室温は18度以上あった方が良いのです」
餅は餅屋、まず睡眠のことは睡眠のプロに伺うべく、睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに取材を申し込んだところ、初手の一言で撃沈です。
長年、冬の居室は15度あれば上出来だと思っていた筆者。電気代がもったいないので寝る前にいつもエアコンを切って、朝起きると室温13度くらいまでは下がっている日々でした。しかし、
「この『冬の室温を18度以上に保つ』という指標はWHOも強く勧告していて、イギリスでは人を寒い家に住まわせるのは基本的人権の侵害だと言われているほどです」(三橋さん)
知りませんでした。わが家は人権侵害レベルでした。でもそもそも寒くなりがちな家では、何から、どうしたらいいのでしょう。
対策するべきは「窓」
「部屋の熱が逃げていくのは主に窓からです。外気に接する窓の前で冷やされた空気が、部屋の中、床近くに降りてきてしまう“コールドドラフト現象”を予防するためにも、寝室のカーテンは窓を覆うようにして、しっかり閉めてください。窓の断熱のためには内窓の設置、二重窓にするのが効果的です。プラスチック段ボールを利用したDIYでも作れますよ」(同前)
なるほど、朝、目が覚めやすいように遮光カーテンをいつも中途半端な閉め方にしていたのですが、これが敗因の一つだったようです。