OSO18で「間違いない」
有元 それまで何百とシカの骨を見てきたので、明らかに異なる異様な大きさの骨を見た瞬間、「間違いない」と思いました。松野さんに見てもらったところ、「間違いなくクマの骨だ」と。その時点で、たい肥の中にはOSO以外のクマの骨は入っていないとのことだったので、OSOの骨(後に腰椎と判明)だと分かりました。
――4時間のあいだ、「もうやめようかな」と思った瞬間はありましたか?
有元 いや、僕としてはあっさり、という印象だったんです。陽が落ちるまでやろうと思っていたので。
――OSOの骨を手に持った感触というのは?
有元 覚えているのは、「熱さ」です。たい肥の山の奥に埋もれて、骨から湯気が出ていました。最初に見つけたのは腰椎の骨だったんですけど、こうやって持ち上げると持っていられなくなるくらい熱いんです。生命力が残っている感じがして……OSO18の存在を最も感じた瞬間でした。
それで社長さんの了解をとって、その骨をいただいて帰ったんですが、その骨自体も内臓と皮がついている状態で、強烈な匂いだったんです。分析に回すつもりだったので、なるべく洗わないでそのままにしようと袋に入れてたんですが、ロケ車もものすごい匂いになっちゃって……あれは申し訳なかったです(苦笑)。
日常的に肉を食べていたOSO18
山森 有元が根性でOSOの骨を見つけた一方、僕は研究者や専門家の方を取材していた流れで、その骨を分析してくれるところを探すことになったんですけど、10月放送までのスケジュールがタイトだったこともあって、難航しまして……一度、編集室で有元に「分析、ちょっと難しい可能性あるわ」と言ったら、顔も上げずに「そうですか」と。「僕が見つけたあの骨は意味なかったんですか」と言わんばかりの強烈なプレッシャーを感じました。
有元 それは“心の声”ですよね。プレッシャーではないです。
山森 心の声が聞こえてきまして(笑)、これは何とかせねばと。紆余曲折あって福井県立大学の松林順准教授に「学術的な価値はないかもしれないんですが……」と分析をお願いしたところ、純粋に面白がってくださり、すぐに分析のための時間をとってもらえることになりました。冷凍していた骨を袋で何重にも覆って、絶対に匂いが洩れないことを確認してから、クール便で送って、分析していただきました。
――番組では、骨に含まれる炭素や窒素の同位体比を調べることで、何を食べていたのかわかり、さらに骨の層を薄切りにすることで、年齢ごとのデータまで得られるということでしたが、分析の結果、どういうことがわかったんでしょうか?