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「缶詰にでもなったんじゃねえ?」

――自宅で「ニュース7」を見ている赤石さんが、OSO駆除を伝える短いニュースに「それで終わり? 何じゃい、全然分かんねえじゃん」と呟くシーンが印象的でした。

有元 とにかく赤石さんのところに行って、「OSO(の死体)はどうなったんですかね」と聞いたら、「缶詰にでもなったんじゃねえ?」と言ったんです。これだけ赤石さんも藤本さんも時間をかけて追いかけてきて、我々もその姿を追いかけてきた結果、知らぬ間に缶詰になってました、とすればある意味、現代的なオチとして、かえって面白いように思えてきたんです。

捕獲が確認されたOSO18の姿(釧路総合振興局提供)

山森 その日のうちに2023年の10月を目指して番組にしようという話になり、夜に中標津で落ち合って居酒屋で有元と飲みながら、どんなロケをしていこうかと話していたら、「東京のレストランでOSOの肉を食べた」みたいな話がツイートで流れてきて。予期せぬ展開が起きているけれど、10月までまだ時間があるので、もう少し頑張って取材してみようと。

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有元 OSOが持ち込まれた食肉の解体業者の方なら確実にOSOの死体を見ているはずなので、まず解体業者に当たることにしました。それで道東の解体業者に1軒1軒電話をかけていくと3軒目で見つかり、すぐ会いに行きました。代表の松野穣さんから「体毛が薄かった」「胃の中が空っぽだった」と興味深い話が聞けたので、後日改めてカメラクルーを連れて撮影に伺うことにしたんです。

OSO18を解体した松野穣氏

山森 その翌日が藤本さんの退院の日だったんだよね。

有元 そうです。その場面を撮影させていただいたら、藤本さんが「大腿骨でも残ってればOSOが何食ってたか、わかる。本当はそれを調べるのがオレの役目だったんだけどな」とちょっと無念そうに仰っていたんですね。で、翌週また松野さんのところへ行ったときに、この藤本さんの言葉が頭に残っていて、「ちなみに何かOSOの骨や毛皮など、残っているものはないんですか?」と聞いたら、「あるといえばあるけど見る?」と言われて、連れて行ってもらったのが裏の「たい肥場」でした。

〈テリー伊藤なら掘ると思います〉

――いよいよですね。匂いとかは、かなり強烈でしょうね。

有元 嗅いだことのない匂いですよね。いわゆる「たい肥」の匂いは皆さん想像がつくと思うんですが、そこに糞尿、腐った肉や内臓の匂いが混ざって、酸っぱい感じもあるんです。夏のことでもあり、間違いなく人生で嗅いだなかで一番強烈でした。ハエとカラスもすごくて……ダンプカー3台分というたい肥の山を掘り起こして骨を探すのは「無理だな」と一度は諦めたんです。翌日は何も撮影の予定が入っていなかったので、町の景色でも撮ろうかなと思ってたら、山森さんから連絡が入って。