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おそらく何かの幻覚や妄想の影響で、前に進んではダメだと不安にかられたのだろう。それらの不可思議な行動は単なる怠慢ではなく、多分に統合失調症の陽性症状が影響していたとみるのが自然なのだ。

思い込みが激しく、場の空気を読めない

ASDは生まれつきの脳機能の発達が関係する障害で、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やLD(学習障害)とならび、主な発達障害のひとつだ。できることとできないことの能力に差が生じ、仕事や日常生活に苦しむ。

ASDは、知的な問題はないが、人間関係のコミュニケーションに問題が生じる障害だ。思い込みが激しかったり、場の空気を読めなかったり、こだわり行動(興味・関心が限定される、特定の行動を繰り返す)があるといった症状によって特徴づけられる。

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ただし症状には軽度から重度までグラデーションがあり、軽度の場合はわかりづらいものらしい。ちなみにADHDは不注意が多く、加えて多動・衝動性が強い。LDは知的発達に遅れはないが読み書きや計算が困難、といった特性がそれぞれある。

内向的で大人しいタイプと、外交的かつ攻撃的なタイプとに大別

さらにASDの気質を対人関係に焦点を当てれば、以下の4つのタイプになるようだ(以下、webサイト『みんなの障がい』より引用)。

・孤立型――周囲とコミュニケーションをとろうとせず、自分から孤立する
・受動型――集団の中で人と関わろうとするが、自分からは関わりにいかない。命令されやすく、流されやすく、自分の意見をもてない
・積極奇異型――人との交流に積極的で、人との距離感が誰にでも近すぎる。自分の話したいことをずっと話し続ける
・尊大型――自分の主張を一方的に押しつけて、まわりを圧倒しようとする。高圧的な態度でふるまう

つまり孤立型・受動型のように内向的で大人しいタイプと、積極奇異型・尊大型のように外交的かつ攻撃的なタイプとに大別される。

「私は売春に救われた」

琴音に照らし合せれば、一旦は約束を好意的に了承する――のちに容赦なく反故にする――といった行動に表れているように、後者(外交的かつ攻撃的なタイプ)のように思われる。