「いい作品に関われることが、私のいちばんの幸福なんです」と映画への思いを語る橋本愛。約5年ぶりの主演作となる映画『熱のあとに』(2月2日)公開を前に、彼女が抱き続けていた葛藤に迫った。(全2回の後編/続きを読む)

©橋本篤/文藝春秋

主演映画が5年ぶりとなった理由

――橋本さんは『熱のあとに』で、愛について言葉を尽くして思索する主人公、沙苗を演じています。2018年の『ここは退屈迎えに来て』以来、約5年ぶりとなる長編主演作ですが、間が空いたのはなぜですか?

橋本 この5年間は映画に出会うための時間だったなと思います。映画に出会いたいから、日々をがむしゃらにがんばろうと思ってきて。

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『熱のあとに』のお話をいただいたのは2、3年くらい前なんです。制作もなにも決まっていない状態で脚本を見せていただき、その時点で絶対にやりたいと思いました。でもこれをできるようになるには、きっとこういうものが必要なんだろうなと考えて、それを積み重ねていく時間でもありました。

――こういうものが必要なんだろうな、と考えたというのは、今回の役を演じるために必要なものがあったということですか?

橋本 単純に言ってしまえば、私を見たいと思ってもらえるための力をつけるということです。たまに自分を客観視してみるんですけど、全然輝いていないなって。どうしたら輝けるのかなと思っていたんですね。

 やっぱり輝いている人をみんな観たいはずだし、私だってそういう人を観たいから、その輝きみたいなものを自分に蓄積していくために、足りないものを補おうって。でもそれって自分のコントロール外のことが多いんですよ。人との出会いとか、作品との巡り会いとか、時間が連れてくる場合もあるから、それをずっと待っていたみたいな感覚です。

©橋本篤/文藝春秋

――意外な話ですが、橋本さんは自分のどこが輝いていないと思っていたんですか?

橋本 オーラとか、自分がまとっている空気です。自分が写っている写真を見るときも、私はまわりの空気を見るんですね。表情がちょっと崩れていても、空気が輝いていればオーケーみたいなところがあって。

 逆に表情が整って見えても、まわりが光っていなければ駄目だなと。そのうち自分を開かないと光れないなと気づくようになりました。だから開こうと思っています、この1年くらいは。

最終的に辿り着いた場所

――『熱のあとに』で橋本さんが演じるのは、愛ゆえにホストを刺し殺そうとしてしまった女性です。彼女を演じながら、橋本さんの愛に関する考え方に変化はありましたか?