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「被害を想像して、暗澹たる気持ちになりました…」地図のスペシャリストは、能登半島地震をどう見たのか

2024/02/02

genre : ニュース, 社会

――住むのに向いている平地が少ない?

竹内 高い山はないんですが、ほとんどが丘陵地帯ですね。奥能登は輪島市、珠洲市、穴水町、能登町を併せた4市町なんですが、面積が1130平方kmで人口は約5万8000人です。札幌は、これと同じくらいの面積で196万人が住んでいます。

飯塚 札幌全体と同じ面積でも、人口に大きな差がありますよね。つまり都市部での地震とは、大きく性質が異なっていたわけです。

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――能登半島には、中央付近に少しくびれたところがありますね。

竹内 そうですね。この半島の中部、七尾市から羽咋市にかけては川に沿った標高の低い土地が続いています。農業には良い条件ですが、地盤が強いわけではないので、今回この地域の揺れも震源から離れているわりには大きかった。

竹内 渉(たけうち わたる)
北海道生まれ。1996年、昭文社(現昭文社ホールディングス)大阪支社入社。地図編集部、旅行書編集部、経営戦略室を経て2014年から広報。大阪支社時代、昭文社初のフルデジタル制作の県別地図帳『県別マップル石川県』を担当。地震に関する昭文社の取り組みコラムも執筆。

――ここも道路破損などの被害が大きかったですね。

竹内 はい。それゆえ地震当初、金沢はもちろん、富山方面からも救助に行くのが難しくなったと思います。

熊本地震、胆振東部地震との違い

竹内 今回の地震の規模を把握してもらうために、気象庁が発表している「推計震度分布図」をご覧ください。濃いオレンジのところが震度6以上ですが、これを見ると、大きく揺れた場所が一目でわかります。比較のために、2016年に発生した熊本の地震のものを持ってきました。こちらは1回目のとき(4月14日/マグニチュード6.5)ですがこれと比べると、広範囲で大きな揺れが起こったことがわかります。

能登半島地震(気象庁「推計震度分布図」より)
1回目の熊本地震(気象庁「推計震度分布図」より)

――こうして見ると、今回の地震で揺れた範囲がとても広かったことがわかりますね。

竹内 先ほど紹介した熊本の地震はのちに「前震」とされたものです。こちらは本震とされるもの(4月16日/マグニチュード7.3)ですが、こちらは前震よりかなり広い範囲が揺れたことがわかります。そしてこちらが2018年に起こった北海道胆振地方の地震(9月6日/マグニチュード6.7)です。

2回目の熊本地震(気象庁「推計震度分布図」より)
胆振東部地震(気象庁「推計震度分布図」より)

――この熊本の地震と、胆振の地震は直近の大きな地震ということで、今回の地震とよく比較されますよね。

竹内 はい。比べてみると、今回の能登の地震とはだいぶ性質がちがうなと改めて感じます。熊本は都市部で、近くに大きな自衛隊の基地もあった。胆振は、能登と同じような過疎地域ですが、苫小牧や千歳といった交通拠点に近く、そういったところにあまり被害がなかった。今回は過疎地域で、交通インフラが遮断。46万都市の金沢からも、簡単にアクセスできないなど、難しい状況が重なりました。

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