――地震波が広がっていく様子がわかるんですね。
竹内 一般的にテレビなどで速報される震度の情報よりも迅速かつ詳しく、揺れの広がりが視覚的に把握できると思います。あと経済産業省のサイトや、各電力会社のサイトで、停電の状況を見たりします(災害時にアクセスが集中するとサーバーがダウンすることもあるので、現地の人を優先に閲覧してほしいとのこと)。こういった地図は、ボランティアなどで「どこに行けるか」といった判断の基準になりますよね。そういった意味では、道路状況が逐一更新される地図も有効です。
――代表的なものにTOYOTAの「通れた道マップ」がありますね。
竹内 この地図は、被災地で走った車の軌跡を通信で収集し図示しているんです。実際に走れる道路と各種交通規制の状況がほぼリアルタイムでわかるので、現地の様子を把握する大きな判断材料になると思います。
地形や道路情報などはおよそ年に1回アップデート
――今回の地震では、地面が4メートルも隆起したなど、大きく地形が変わったのではないかと言われています。こういった変化はどのように地図に反映されていくのでしょうか。
竹内 これは国土地理院の地形図が変われば、私たちは当然それに合わせて修正していくということになります。
――つまり地図出版社の地図は、国土地理院の地図に基づいて作られると。
飯塚 今日お見せしている昭文社の出版物も、国土地理院の測量の成果に基づいて作っていますので。
竹内 地図商品はもちろんガイドブックに掲載の地図も、国土地理院の地図を基図として使っている場合は、使用承認を得た旨を本の中に記し、後に成果物の報告も行っています。
――《測量法に基づく国土地理院長承認》とこのガイドブックも末尾にも書いてありますね。国土地理院の地図に、テキスト情報などを加えてわかりやすくしているのが地図出版社の地図であると。
飯塚 はい。地形情報など基本的な地図情報だけは準用させていただいて、その他の情報を加味しているわけですね。