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災害時に活躍するのは“紙の地図”

――東日本大震災の後も、やはり地図の需要は増えました?

竹内 首都圏に限っていえば『帰宅支援マップ』がずいぶんと売れました。これは帰宅支援ステーションや広域避難場所なども記した、災害時にどうやって帰宅すべきかというマニュアルが地図と一緒になった本です。

――2005年から昭文社で出ているものですね。

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竹内 当時、国から首都直下型地震の想定が出されて、帰宅難民が相当数出るということで企画したものです。57万部が一気に売れました。一旦ブームは去りましたが、東日本大震災のとき再評価されたんですね。

飯塚 そして災害時には、すぐに家に帰ろうとせずに「一時待機も必要」などのアップデートを重ねて、今も作っています。最新刊は2月刊行予定です。

『帰宅支援マップ』(昭文社)より

――首都圏の人たちの備えを地図という観点から教えていただけますか?

飯塚 普段、なかなか手元に紙の地図がある時代ではないですよね。でも、大きな紙の地図を眺めることで、電車が動かないときどういった道で行くかや、自分のオフィスは台地の上なのか、河川の近くなのか、近くに何があるかといった地理的感覚が養えると思います。

竹内 私は東日本大震災のとき、会社から茨城の自宅まで80キロを歩こうとしました。当時は、一時待機という概念もあまりなかったので、現金をおろして被災しているだろう家族のいる家に帰ろうとしたんですね。そんなときケータイは、情報入手や通信に使いたいので、地図閲覧には使えないです。バッテリーも限られているので、紙の地図は必須でした。

――80キロ歩かれたんですか?

竹内 結局、東京から柏まで。およそ30キロで断念しました。

――マラソンランナーが2時間ちょっとで42キロ走れるというのは、ちょっと誤解を招きますよね。

竹内 あれは特別なトレーニングをした人ですから。普通の人が歩けるのは20キロから25キロぐらいでしょう。荷物を持っていれば、10キロでもかなり辛いです。余震のあるなか大きな川の橋を渡るのは恐怖でした。実際に体験したものとしては、地震の際はすぐに帰宅しようとはせず、まず安全なところで一時待機。そして状況を把握してから行動するようにしていただきたいですね。

 

地震のときに真っ先に見るサイトは「防災地震Web」

――先ほど、気象庁の「推計震度分布図」を紹介いただきましたが、そのほかに災害時に見ているサイトなどありますか?

竹内 地震のとき真っ先に見るのは、防災科学技術研究所が発表している「防災地震Web」です。リアルタイム地震地図で、震源域・深さ、地震波の到達状況や余震発生状況が刻々とわかります。