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「うちの実家を建てる時も、2メートルほど地面を掘ってコンクリと杭で地盤改良をしましたが、地震の後、地面のあちこちから浜砂と水が噴き出してきて。周辺では家や車が地盤ごと何十センチも沈み込んだり、浮き上がったり。自宅裏の畑は、蟻地獄みたいな状態になっていて、腰のあたりまで地面に飲み込まれ、固い土の部分に摑まってなんとか持ち堪えました」(同前)
その場所は今もまだ柔らかく、足を踏み入れると、ジワリと滲んで即座に水たまりを作り出した。同地区の別の男性(80)が振り返る。
「腰のあたりまで地面に飲み込まれ…」
「まさかこんなことになるとは……。先々代からこの土地に住んどるし、今回の地震より震源地が近かった福井地震(1948年・最大震度6)の時もかなり揺れたけど、こんな液状化はせんかった」
家屋そのものが何軒も倒壊しているわけではない。建物の多くは元のかたちを保っているように見えるが、地表が平衡感覚を狂わせるほどにうねっているのだ。
津幡さんが続ける。
「調べてみると、住宅被害調査の『全壊』や『半壊』などの判断は、建物の損壊状態によるんですが、このあたりは住宅より地盤そのものがダメージを受けている。地震による住宅被害の基準を見直してほしい」