元日の巨大地震は、震源地に近い能登半島先端の珠洲市から100キロほど離れた地域にも壊滅的な被害をもたらした。
時空が歪んだような光景が
石川県の県庁所在地・金沢市に隣接する内灘町。町北部の西荒屋地区では、電柱が斜めに傾き、道路が大きく波打つ。当日、内灘町を襲った最大震度は5弱だったが、地盤が広範囲に液状化現象を起こし、まるで時空が歪んだような光景を生み出していた。
同地区に自宅のある津幡直樹さん(40)が語る。
「地震から1カ月。45度に傾いた電柱の角度を戻して固定したりして、これでも当初の景色よりはまだマシになった方です。でも、このあたりの地盤は、液状化現象が収まっていなくて、まだ地面が動いているんです。重い荷物を積んだトラックが通過する度に、家が揺れて、まだアスファルトが下がっていく感覚があります。内灘町は初期に被害ナシと報道されたこともあり、能登に比べると、行政にもメディアにも被害の実態がちゃんと認知されていませんでした。町会議員さんが中心になって、SNSを通じて惨状を広めようとしてきました」
金沢市のベッドタウンである内灘町は、海岸線の内灘砂丘と河北潟に挟まれ、干拓地を開発した場所に多くの住宅が建てられていた。