ダルビッシュ「選手へのリスペクトに欠ける」「まだそこですかって」

米大リーグ、パドレスのダルビッシュ有(37)がサンケイスポーツ紙(1月16日付)のインタビューで訴えた日本球界への提言が話題を呼んでいる。一部の指導者を直球で「勉強不足」とずばり指摘し、進化を求めたのだ。

これまでも日本球界では当たり前とされてきた投手の「過度な走り込み」についても、たびたび異議を唱えてきたが(※)、今回はもう一歩踏み込んだ内容で表現もストレートだ。(※自身のXで、「野球において『長時間、ただ走れば上手くなる』って思って走っている、または走らせている人たちに対して」の異議だと書いている)

写真=AFP/時事通信フォト 東京ドームで行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝、日本対イタリアの試合で投球する日本のダルビッシュ有投手(=2023年3月16日) - 写真=AFP/時事通信フォト

「走り込みは、コーチたちがそれしか手段を知らないから。手段はいろいろあるのに、何となく『お前は下半身が弱いから走れ』っていう方法しか示すことができない。これは、やっぱりその人の人生を考えてもリスペクトに欠けるし、これだけいろんな情報があふれている世の中で、まだそこですかって。その選手の野球人生を終わらせかねない。常にその選手のベスト、今の世の中で提供できるベストを考えるのが指導者だと思う。そこに対する努力はしないといけない」

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「リスペクトに欠ける」「まだそこですかって」「選手の野球人生を終わらせかねない」……なかなかに辛辣(しんらつ)と言える。

NPBの監督・コーチが現役時代は指導者に直立不動で「はい」しか言えないような時代だった。しかも、現役時代に優秀な結果を残した元選手が大半で、自身の“野球技術論”にも自信を持っている。そのこと自体は悪くないが、何十年も前のトレーニングが現在も引き継がれてしまっているのはいかがなものかということなのだ。

ダルビッシュはこう続ける。

「バイオメカニクス(運動力学など)とか、そういう勉強をしないで、自分の経験をもとにコーチングするから今の時代にそぐわなくなる。だから、そこに対するフラストレーションを現役選手は抱えている。指導法に根拠がなく、選手が納得できないまま(現役の)時間が過ぎていく。それが当たり前の世界になってしまっている。どうしようもないもどかしさがあるのかな、と感じました」