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地震直後に能登入りした精神科医は何をしていた? 特殊チーム「DPAT」の実力と極限状態の実態「もう死んでやる!」

地震直後に能登入りした精神科医は何をしていた? 特殊チーム「DPAT」の実力と極限状態の実態「もう死んでやる!」

2024/02/17
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「具体的に何をしてくれるんですか?」とまず聞く

 筆者が2月1日に「海と空」を訪れたときは、施設で生活する人以外にも、多くの高齢者や障害を持つ人々が集まっていた。石川さんは「海と空」は人々の生活をずっと支える場所ではなく、「あくまでも避難所」だという。

「避難されている方にはもちろん安心してもらいたいと思っていますが、安住の地ではなくて、あくまでも次の避難場所や生活拠点を見つけるまでの通過点だと思っています。なのでお菓子や飲料水が置いてありますが、自分で好きな時に飲んで食べるという形。心も体も鍛えながら、次に向かって、再び輪島に帰ってくる準備をしてほしいんです。

 いろんな団体の方から連絡が来た時も、『具体的に何をしてくれるんですか?』と聞いています。避難されている方が次の生活場所を見つけるために動いているので」(石川さん)

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 石川県によると、今回の能登半島地震では、死者240人、避難者は1万3946人。2次避難所のホテルや旅館には246施設に5000人を超える人が避難をしている。避難所以外にも、親戚宅などに4425人、車中泊102人、自宅2867人などとなっている(1月31日現在)。

火災のあった、輪島市の朝市通り

 東日本大震災を踏まえると、今後の課題は見えてくる。坪倉教授はこう語る。

「東日本大震災では、弱い人たち、寝たきりの人たちがたくさん亡くなっています。そういう人たちのケアをどうするかが一番問題になるでしょう。原発事故の時もそうでしたが、現場にいる人と一緒に仕事しないといけない。外側から色々言ってもしょうがない。しかし、ボランティアでは人数がたらない。ケアのプロが必要です」

 そのため坪倉教授は、災害時に公的な派遣の一部として参加できるように模索しているという。

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