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専門家が「イチ押しの健康食品」と断言…「納豆」を食べるときに気をつけたい“意外な落とし穴”

『老けない最強食』#2

2024/03/08

source : 文春新書

genre : ライフ, ヘルス

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老けない作用(2) 脳を若く保つ

 納豆に含まれるコリンと大豆レシチンには、細胞や脳を若く保つ働きがある。自身も納豆を毎日食するという日本ポリフェノール学会理事長の板倉弘重医師(東京アスボクリニック名誉理事長)が大規模研究の結果を示しつつ、教えてくれた。

「2‌0‌1‌9年に発表された研究で、コリンの摂取量が多いほど、記憶機能のパフォーマンスが高まることが報告されています。コリンが最も多く含まれるのは卵で、次に大豆、そして鮭、納豆の順に多く含まれます。また、コリンに脂肪酸が結合するとレシチンという成分になるのです。レシチンには大豆レシチンと卵黄レシチンの2種類があり、納豆には大豆レシチンが含まれています。レシチンを十分に摂ると、集中力、記憶力、思考力が向上することがわかっています」

老けない作用(3) ダイエットに効果的

 納豆が腸内環境に良いというのはご存知の人も多いかもしれない。だがそれは単に腸の調子を整えるということではない。健康的なダイエットにも効果的なのだ。

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 ゴボウに含まれる食物繊維が1‌0‌0gあたり5.7gなのに対し、納豆(糸引き納豆)には6.7gが含まれる。

 大人のダイエット研究所代表理事で管理栄養士の岸村康代氏によると「水溶性と不溶性の食物繊維両方が豊富に含まれていることが珍しい」のだという。

「腸の前半、中盤、後半で、発酵して腸内環境に影響を及ぼす食物繊維が違います。納豆には大豆オリゴ糖という水溶性食物繊維と、大豆の皮の部分に不溶性食物繊維が多く含まれ、水溶性食物繊維はコレステロールの排出を助けたり、血糖値の上昇を抑えたり、腸の前半で発酵しやすいとされています。そして不溶性食物繊維は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を助けたり便の水分を保って排便を助ける効果が期待できます」

 腸内で有用菌(いわゆる善玉菌)が食物繊維を食べると、短鎖脂肪酸を生み出し、肥満を防ぐ作用がある。

「本来は腸のどの場所でも短鎖脂肪酸をつくり出せるのが理想です。不溶性・水溶性の両方の食物繊維を含む納豆は、腸をはじめ体全体に良い働きが期待でき、ダイエットをはじめさまざまな健康美容効果があるでしょう」(岸村氏)