人生100年時代に突入して、1人の人が生涯に「食べる」回数は人生50年、80年時代に比べて数万回増えました。しかし、多くの人は何をどのように食べたら健康になれるか、体内で栄養はどんなふうに使われるのか、詳しく教わる機会がほとんどありません。そこで高齢者栄養ケアの第一人者が上梓した『100年栄養』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成し中高年が絶対にやってはいけないダイエット方法、そして正しい食事の摂り方をご紹介します。(全2回の後編/前編を読む)

撮影 吉濱 篤志

「3日間」同じものを食べ続けるのはやめなさい 

 多くの人は1日3食。ときどきは変化を楽しみたくなりますよね。

 だから、流行の「体にいい食べ物」を食べてみるのはその意味では楽しいことです。めずらしくて、おいしければ食生活の“彩り”になります。

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 まずは「どれどれ」と思いながら試しに食べてみて、翌日も「ふむふむ」と思いながら食べましょう。せっかくですから元気になるイメージで、おいしさを味わって!

 でも、3日目はやめておきましょう。

 別の、食べたいもの、おいしそうなものを召し上がれ。

 1、2日はよくても、3日目からは体にとって負担になることがある。そう覚えておきましょう。同じ食材ばかり食べていたら、ちょうど飽きてもくるころ。体は正直にサインを出してくれているはずです。

 そもそも健康な人が病気にならないために「○○を食べる」「△△を食べない」といった食べ方をするのは、実はほとんど意味がありません。情報に飛びつくと、手っ取り早く健康になれる気がするかもしれませんが、とても成功率の低い健康法です。

 なぜなら、食べたものがそのままで栄養になるわけではないからです。

 食べ物は、食べた人の体の中で分解・吸収されて、しかるべき場所に運ばれ、機能を発揮する栄養となるので、同じものを食べても、食べた人の体質や代謝機能、活動によって栄養は変わります。

「この病気にならないためには○○を食べなさい」「あの病気を防ぐには△△を食べない」などと考えだしたらキリがありません。そもそも、そのような視点で食べるものを選ぶならば、徹底的に遺伝子検査、体調の検査をして、食品の栄養検査もして、食前食後の血液検査もして、解析しながらなら、いくらか効果があるのかもしれません。

 それでも一般的な血液検査は、各臓器の血液をとって調べるわけではないので、効果のほどを厳密に把握するのは難しいはず。つまり「私の体にいいものだけ」を選ぶのはかなり困難だから、成功しにくい。

 成功しないだけならいいけれど、一般的な健康知識で取り組んでしまうと、過剰摂取による刺激などで体調に悪影響が出ることも多いのではないかと思うのです。