誰でもお正月のあとなど、「年末から食べすぎで、ちょっと胃腸を休めてやりたい」という気になって、食事量を軽くしたり、柔らかい(消化しやすい)ものを選んだり、アルコールを控えたりすると思います。
そのような実感からくる調整はとっても大切です。臨機応変な対応で、胃腸の回復を助けるでしょう。
けれど「16時間ダイエット」を続けて、果たして脂肪が燃え、胃腸が休まるか。中には合っていて、成功する人もいるかもしれないけれど、逆に、筋肉がエネルギーに回されてしまう人、胃腸を疲れさせてしまう人、排泄のリズムを狂わしてしまう人なども必ずいると思います。
その数は決して少なくないはず。そして、悪影響がすぐにではなく、のちのちなにか症状や病気になって出る人もいると思います。健康や美を追求した結果がそれでは、本末転倒ですね。
血糖コントロールは「決まった時間に食べる」ことから
私はこれまで糖尿病の人の栄養ケアも数多く担当してきました。
患者さんの中には、トラックの運転手さんやホテルの従業員さんなど、生活が不規則になりがちな人も多く、そのような仕事の人の場合、まず「朝・昼・晩」の食事の時間を決め、習慣化することから始めていました。
一般的には朝6時、12時、19時程度のバランスで食事をとるとよいですが、仕事の都合でそれはできません。それでも「食事時間として30分以上とれる3回の隙間」を見つけてもらい、食事をとる時間を一定にすると、血糖値のコントロールがうまくいくようになることが多かったのです。
3回の食事時間の間隔が、一般の6時間より短くなる回、長くなる回が出るのは、不規則に対する苦肉の策なので、やむを得ません。そのために起こる消化吸収への負担は、食べる内容を工夫することで軽減していました。そして、仕事が休みの日は家族や知人とともに過ごし、食事のタイミングも周囲に合わせます。
血糖コントロールには、「食べる時間の規則正しさ」がとても大切だということを現場で痛感したわけですが、それを考えると、「16時間ダイエット」はあえて不規則な状態をつくるような行為です。かなり意識的に栄養管理をしなければ成功しない確率が高い方法といえるでしょう。
短時間のうちに栄養を確保し、体を衰弱させないよう保つには、専門家の栄養ケアを受け、パーソナルトレーナーをつけて筋肉ケアもしなければ! それには相当なお金がかかりそうです。