「太ったから」と、すぐに「食べないダイエット」を始めていませんか?
運動不足で体重が増えてしまった、連日食事会が続いたらちょっと食べすぎで太ってしまった。体重が戻らないまま年月が経って、一回り大きくなってしまった││代謝が落ちることで、いわゆる「中年太り」に悩む人も多いことでしょう。やせたらまた着ようと思うから、数年前の服が捨てられない! 私もその葛藤の真っただ中です。
太ったままの状態で70代、80代に入ると、脂肪が多い状態のまま、さらに筋肉が落ちるサルコペニア肥満となりますから、適正体重に戻す努力は必要です。
ですが、ここで中高年がやってはいけないのが、「食べずにやせようとすること」。
運動もあまりできないから食べないのが一番効率的、と「断食」や「リンゴダイエット」を筆頭に「〇〇しか食べないダイエット」につい手を出してしまっていませんか?これは、第1章でお伝えした"おばけタンパク質"につながる、危険な「食べない」ダイエットです。
断食をすると、そもそもの摂取エネルギーが不足し、体を動かすエネルギー源として、体づくりに使われるはずのタンパク質が使われてしまいます。体はタンパク質不足に陥り、筋肉が維持されず、さらに代謝が落ちることになります。
中高年以降は、「食べないダイエット」をしてはいけません。
「16時間ダイエット」で胃腸は休まらない!
もう1つ、少し前に若い人の間でブームになり、遅れて中高年に波及している「16時間ダイエット」も、誤解されている可能性が多分にある健康法です。
1日のうち、16時間は水分以外口にしない。つまり残りの8時間で必要な栄養をとり、ダイエットするという方法。食べる時間を限ることで、脂肪が燃えやすい状況をつくり、胃腸を休めることができるなどとも言われ、大流行しているようです。
しかし、食事でいろいろなものを食べたら、消化吸収を終えるまでに24時間かかることもめずらしくはありません。排泄までは24時間以上かかっている場合が多いので、消化管のどこかは必ずはたらいています。すべての消化管が一斉に休むということはないのです。そして、残りの8時間に全栄養をとるために食べるのも大変。その間、消化管には普段以上のはたらきを求めることとなり、負担を強います。
1日に必要な栄養素をとって、筋肉量を維持しながらやせるためには、食事は高栄養で、消化しやすい献立に工夫しなければなりませんね。それができたとしても、8時間の間は、ずっとお腹がいっぱいで、消化にエネルギーを費やすために、頭はぼーっとしているかもしれません。