『10品を繰り返し作りましょう わたしの大事な料理の話』(ウー・ウェン 著)大和書房

 ザクッ、トントントン、ジュワー、グツグツ……。キッチンに響く音が聞こえてくるかのような本書。中国・北京出身の人気料理研究家が、家族のために繰り返し作り続けた10品を丁寧に紹介したエッセイだ。

「著者の《豚肉とキャベツ炒め》を初めてご馳走になったとき、あまりの美味しさにびっくりしたんです。自分も普段から同じ材料と調味料で作っているのにどうしてこうも違うのか、と。作る様子を見せてもらうと、素材の味を最大限に引き出すコツが沢山詰まっていて。しかも切った野菜の色や形、鍋の中の景色など、料理の過程の各場面がとても綺麗で。著者が料理をしている雰囲気や言葉をそのまま読者に伝えたいと思いました」(担当編集者の八木麻里さん)

 料理の実況中継をめざしたという本書は写真も豊富。撮影は著者の自宅のキッチンで。センスの良い鍋や器等も著者のものだそう。

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《野菜炒めが上手に作れれば、世界中どこへ行っても生きていけますよ。野菜炒めは「生きる力」です》《油って、うまみなんです》など、著者ならではの数々の言葉が読み手を引き込む。本文とは別に、各料理のレシピが巻末にまとめられているのも実用的で便利だ。

 料理レシピ本大賞・エッセイ賞受賞でヒットは加速。料理経験のほぼない20代女性や70代男性、料理歴数十年のベテランなど幅広い読者の支持を得ている。

2022年10月発売。初版8000部。現在8刷5万部(電子含む)