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「絶望的な世界で希望を探そうという世界観は『少女終末旅行』『メイドインアビス』を想起させ、多くの点でこれまで観たアニメとは違っている」という評価の示す通り、文明崩壊後の日本を生きる少年少女のSF世界は、『イカゲーム』『今際の国のアリス』などのブーム同様ディストピアモノとしてのトレンドにも乗りつつ、多くの視聴者の期待を超え続けた秀作だ。

2023年Q2の作品数は全部で69作であった。本記事でスポットライトを当てるのはそれでもごく一部なのだ。

図表1はそのうちの上位20作を載せたのみだ。中間の20~40位はMembers数万人に過ぎず、下位の40位以下になってくると正直Members数千人にも満たない(ショートアニメ、韓国アニメなどフォーマットが違う理由もあるが)。

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比較的7~8点など高評価が並びがちな上位のScoreも、下位になってくると5点台も珍しくない。

「マンガのアニメ化」は作品にとってゴールとも目されるが、そのアニメ化が実現した作品の中でも大ヒット作は1割、下位の人気作になると箸にも棒にも掛からない「無風状態」ということも覚悟しなければならない。

メジャー誌発のアニメでなくても海外でバズる

これがアニメ化の厳しい現実ではあるが、3カ月ごとにこれだけ多くの作品がショーケースのように並ぶ。その中で、『推しの子』のようにアニメも音楽もマンガもすべてがメディアミックスで世界中に広がるような珠玉の一作が誕生することもままある。

なにより、われわれが認識すべきことは「世界と日本で意外なほど時差もリテラシーの差がない」という事実だ。

すでにネットフリックス、クランチロール、アマゾンプライムといった動画配信視聴が当たり前になる中で、毎度3カ月ごとにほとんどの海外ユーザーはアニメに同時間帯でアクセスすることができ、日本人と同じように味わっている。

この5~6年で、海外のアニメファンは急激にアニメに対するリテラシーを上げてきている。ジャンプやマガジン、サンデーなどのいわゆるメジャー誌出身マンガの期待値大のアニメ作品! とはいわずとも、中堅どころやラノベ出自のアニメ化作品でも初動で数万人の海外ファンが集まるようになっている。