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「言葉を失いました」10代女性を相手に講義をしたところ…東京大学名誉教授・上野千鶴子がかけられた“衝撃の言葉”

著者は語る 『こんな世の中に誰がした?』(上野千鶴子 著)

『こんな世の中に誰がした? ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために』(上野千鶴子 著)光文社

 かつてないほど温かく優しい語り口で、現代女性の状況を見渡し、最新の論点を的確にまとめた新著『こんな世の中に誰がした?』は、長く日本の女性学を牽引してきた上野千鶴子さんによる基調講演にして、次世代へのバトンのような一冊だ。副題はずばり、「ごめんなさいと言わなくてもすむ社会を手渡すために」。本書が生まれた経緯を聞いた。

「ある女性編集者から、どうしても、と口説き落とされたんです(笑)。彼女は当時、40代のシングルマザーで、ここまで苦労して生きてきた、そんな自分が今、読みたい本を作りたい、と言う。そこにやっぱり女性のライターが加わって、女3人のざっくばらんなおしゃべりから、だんだん現在の構成に整えていきました」

 章立ては、「仕事」「結婚」「教育」「老後」の4つ。未だ解消されない男女の賃金格差の理由から、現在の上野さんの研究テーマである在宅ひとり死まで、女性がこの世の中を渡っていくために知っておきたい事柄が、過不足なく綴られている。特徴的なのは、随所に見られる「あなた」や「あなたたち」という呼びかけだ。それゆえあなたは、上野さんから直接語り掛けられているような感覚で読み進めることができる。

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「もちろん、たくさんの人に読んでほしいですが、私が『ごめんなさい』を言う対象として想定しているのは、主に社会に出る前、あるいは出たばかりの若い女性たちです。彼らは、まだ世の中に対して何の責任も負っていない。一方、私たちは――何もしてこなかったわけではない、いくらかは世の中を変えたと、本の中には書いたけど、それでも力が及ばなかったことを謝らずにはいられないから」

 さらに、衝撃的な体験を語ってくれた。

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