「お昼、何食べようか」から始まる
そういう時もカミさんには頼らないようにしています。1回頼ってしまうと、甘えが出てしまって、畑に行ける時でも行かなくなってしまう。カミさんもそれを分かっているから、「私は食べる人」なんて言って、手を出さないんです。
娘が自立し、2人だけで暮らすようになって10年近くが経ちますが、一日の会話は「お昼、何食べようか」から始まります。最近は会話の内容はほとんど食事にかかわることですね。
朝は夫婦そろって早くて、日が昇る前には起きる。向こうは起きたらすぐに本を読み始めるんですが、俺はすぐにコーヒーを淹れて、それを飲んだら、暑い時期なら涼しいうちに畑に行ってしまいます。太陽が昇ると、すぐに汗びっしょりになってしまうので、そのあたりで農作業を切り上げる。それで家に帰ると、
「お昼、何食べようか。俺はご飯がいいんだけど」
「そう? 私、ビーフンかなんか食べたいんだけど」
「ああ、そうか。ビーフンもいいね。でも、今朝はバジルが採れたから、パスタでバジルソースにする?」
「あっ、いいかも。松の実買ってこなきゃ」
「じゃあ、バジルソースでお昼は決まりだな」
という感じ。ただ、お互いにどうしても食べたいものが違う時は、2種類作ることもありますね。そこは無理に合わせることはしない。
なんとなくですが料理の分担も決まっていて、麺類や混ぜご飯は俺が作ることが多い。最近も、新生姜の季節になったから、生姜ご飯にしました。冬になったら大根飯。ニンニクとじゃこで作る、じゃこ飯も美味しいですよ。俺は電気釜よりも鍋で炊いたほうが絶対においしいと信じているので、必ず土鍋で炊いています。土鍋で作った時のおこげがうまいよね。あとは刺身が好きなので、魚を捌くのも担当です。
カミさんは野菜担当で、いつも3〜4種類はおかずを作ってくれる。例えば、畑から採ってきたばかりのじゃがいもを見て、「オリーブオイルとお塩がいいわね」と言って、ささっと料理してしまう。食べるまで、俺は内心「これはちょっと焼いて、チーズをのっけても美味いだろうな」「じゃがバターもいいんじゃない」なんて考えたりもするけれど、やっぱりカミさんが作ってくれたのが一番。仕事が早く終わって急に帰った時も、「何もないわよ」と言いつつ作り置きがある。感謝していますよ。