2月29日に日本人女性との結婚を発表したメジャーリーガーの大谷翔平。昨シーズンはエンゼルスでMLB史上初となる2度目の満票MVPに輝き、ホームラン王のタイトルも獲得。今シーズンは新天地・ドジャースでの活躍が期待されている。

 ここでは、そんな大谷翔平の高校時代から2023年WBC優勝までの発言を厳選し、その言葉の背景やエピソードを解説した『大谷翔平は、こう考える 不可能を現実に変える90の言葉』(PHP文庫)より一部を抜粋してお届けする。(全6回の5回目/6回目に続く) 

ドジャースの大谷翔平 ©時事通信社

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大谷が「二刀流は自分だけのものではない」と考えるワケ

二刀流は自分だけのものではない

(「道ひらく、海わたる」P44)

「大谷翔平=二刀流」は今でこそすっかり定着していますが、当初は大谷自身も投手と打者の両方で試合に出ることを意識していたわけではありません。プロ野球にドラフトされるような選手であればアマチュア時代に「エースで4番」だった選手はたくさんいますし、大谷も当初はその1人でした。そして大谷自身、高校卒業後すぐに大リーグに行くことを考えていた時に頭にあったのは投手での挑戦でした。

 実際、大谷を高校時代から見ていたロサンゼルス・ドジャースのスカウト小島圭市も投手としての資質にほれ込んでいました。そんな大谷を翻意させたのが、ドラフトで1位指名した日本ハムファイターズの「投手と打者の2つをやってみないか」という提案でした。それは大谷にとっても「画期的なアイデア」であり、それが大谷の入団の決め手になっています。そしてそこから誰もやったことのない二刀流への挑戦がスタート、入団4年目には2桁勝利2桁ホームランを記録します。投手とDHの両方でベストナインに選ばれ、パ・リーグのМVPを獲得、チームを日本一へと導いています。

 大谷は二刀流を結果で認めさせ、それがメジャーリーグへの移籍につながっています。それは大谷の努力はもちろんのこと、周りの支えがあって初めて実現したものでした。「二刀流は自分だけのものではない」はそんな思いのこもった言葉です。