――「週刊文春」です。半導体が牽引して日本の株価も上がっている現状について、どのように認識していますか?
「こんな形で取材が来るとは考えてもいなかった(笑)。ちょっと待って下さい……、そうですね、最初はデータセンターから始まって、クラウドベンダー(クラウドサービスを提供する事業者)、例えば米国だったらGAFAのクラウドベンダーが来て、そこから始まった。これまでのモノづくりというよりデジタルの技術から来て、AIが立ち上がってきたんです。けれど、日本やヨーロッパ、例えばドイツとかはこれまでのモノづくりがあるので、アナログの技術から立ち上がってきているじゃないですか? でもタイミングは今ようやく来ている。政府や企業のインフラ投資が始まっていて、これからのチャレンジは、これまでの技術にいかにAIを入れていくか、です。それが、日本の強みになってくるんじゃないかなと」
――今回もかなりの増収増益でしたが、これからAIの搭載が進むとなると、まだまだ伸びしろはある?
「そうですね。AIって学習をしてトレーニングをしてサーバーがビッグデータを作って、それらをマシーンや、車、ロボット、医療機器に入れていくんですね。それで製品やサービスになるんですけど、今はその学習環境への投資がされている段階。それらが製品に乗っていくから、もっともっと広がっていくと思います」
「まだまだ途上だと思ってますし、楽観視もしていません」
――これだけ株価が上がりましたが、社内に高揚感は?
「いや、全然ないですよ。僕もエヌビディアで11年目ですけど、全然そういう浮かれたことはないし、地道にやっています。まだまだ途上だと思ってますし、楽観視もしていませんから。今の日本市場のモメンタムがスローダウンしないことが一番大事かなと」