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「飲んでもいいか」と問われても「大丈夫」とは言えない

 もっともサプリメントのなかにも粗悪品でないものはあるでしょう。害もなく、使ってみて調子が良いと思う人にまで、止めなさいとは言いません。しかし外来などで「このサプリメントを飲んでも良いですか」と訊かれても、私たち医師は「大丈夫です」とは答えられません。国に認可されたものでもなければ、粗悪品でないと太鼓判を押せるもの、安全と思われるものを選別する判断根拠を持たないからです。

 そして「効果がある」と言えるものを選別することは、さらに困難です。広告には、その商品に含有されているという成分に効果があることを示すデータやグラフが掲載されているものもありますが、そもそもその商品に、その成分が本当に含まれているかどうかもわかりません。

 もしその成分がしっかりと含まれていたとしても、医療機関で処方される医薬品を凌ぐ効果があるはずはありません。先述したように、医薬品として保険収載されるはずだからです。

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憤りを感じる、高齢者を欺くサプリメントの広告

 はっきり言えば、絶大な効果を謳うサプリメントの広告は、消費者を欺くものと私は考えます。医療機関にかかっても治らない膝の痛みに悩む、藁にもすがりたい高齢者の気持ちを手玉にとって、少ない年金収入から高額の費用を支払わせようとするこれらの商品には、高齢者医療に携わる者として憤りを感じずにはいられません。

 このような理由から、私は外来などで患者さんからサプリメントについて相談を受けたときには、以上の話をわかりやすく述べた上で、医師の立場としてはおすすめしない旨を、はっきりと伝えています。そして治らない膝の痛みについては、もう一度、整形外科の主治医に相談して納得できるまで説明してもらうようにすすめています。

 ただこの際、ひとつだけ気をつけているのは、その高齢患者さんのお子さん、とくに遠方に住んでいて、なかなか会いに来られない方が、親の健康を心配してサプリメントを送ってきたというケースです。親のために「善かれ」と思って送ってきてくれたお子さんの気持ち、それにたいする親の子への感謝の気持ちを踏み躙にじらないよう、言葉を極力選んで、おすすめしない旨を伝えるようにしています。