うみのなか中学校に通うタコジローは、緊張すると顔が真っ赤になるため「ゆでダコジロー」と笑われ、どこにも居場所がない。そんな自分のことが大嫌いだ。ある日、公園で不思議なヤドカリおじさんに出会い、日記を書くことを勧められたタコジローは、その日を境に変わっていく。
本書の目的は書くことで自分と向き合い、自分を認められるようになること。大ベストセラー『嫌われる勇気』を手がけた著者が13歳に向けて書き下ろし、幅広い世代から評判だ。
「最初の項目案は哲学的かつ実用的だったので、中学生が読みやすいように物語形式にしませんか、と提案。書くことは自分の内側に深く潜るイメージがあったので『舞台は海の中で、主人公はたとえばタコ』などと著者に無茶振りしたところ、見事に応えてくれました」(担当編集者の谷綾子さん)
社内では中学生にタコは幼いという意見もあったが、見本原稿を中学生や教師に読んでもらったところ、共感する声が多かったという。
「先生から『今の中学生は笑顔でも死にたがる』と聞いた話は、本書の土台になっています。楽しそうにしていても、心の中には家庭や人間関係などの悩みが渦巻いている。繊細で難しい世代が、他者のジャッジを受けずに自分のために書き、自分を大切にする習慣を身につけてくれたらと願っています」(谷さん)