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ピッコロもベジータも死なず、フリーザまで仲間になる…世界中が『ドラゴンボール』に感じた"やさしさ"

source : 提携メディア

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 映画

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日本のマンガ・アニメが広がった国では戦争が起こらなくなる

情報伝達メディアとしての漫画の威力、少しでも感じ取っていただけたでしょうか。

ここからは、日本の漫画が世界的に見ても圧倒的に優れたメディアであることを決定づける、いくつかの理由を補足していきます。

「日本のマンガ・アニメが広がった国では戦争が起こらなくなる。だから日本のマンガ・アニメを広げるべきなんだ」

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これは、『アンパンマン』の原作者である、やなせたかし先生の言葉です。筆者が『あしたのジョー』の作画で有名な、ちばてつや先生より直接お聞きしたものです。

『アンパンマン』も『ドラゴンボール』も「やさしい漫画」

2012年に高知県は「マンガ王国・土佐」を設立し、様々な催しを行っていたのですが、そのイベント会場で、たまたま、ちば先生のお隣に座ることができました。記憶の限り、次のような会話をさせていただいたはずです。

筆者:日本の漫画やアニメって、キャラクター同士の間に、相互理解とか、協力や融和するような姿勢があって、とても良い文化ですよね。僕らはそれを広めていきたいんです。
ちば先生:それは凄く良いと思う。ここ高知県にゆかりのある、やなせたかし先生が同じようなことを言っていた。日本のアニメが広がった国には、戦争がなくなるんだと。だから、日本のアニメを世界に広げるべきなんだと。
筆者:すごくわかります……。『ドラゴンボール』でも、絶対的な悪役のピッコロ、ベジータといったキャラを殺さずに生かしてしまうんです! ついには理解し合って仲間になってしまうし、最近では続編で、フリーザでさえもそんな展開になっているんですよ〜。

筆者の興奮具合から、レジェンド作家からレジェンド作家へ受け継がれた言葉の重みが伝わってくるかと思います。

そう、日本の漫画は「やさしい」のです。むやみやたらに相手を殺めたりはしない。

海外の漫画は、味方は味方、敵は敵、正義は正義としてハッキリさせ、悪となっている敵を断罪、あるいは倒して終了という展開が多いですが、日本のコンテンツは、古くは『ドラゴンボール』から、最近では『鬼滅の刃』まで、敵であろうが相手のことを尊重して、一方的に罰したりはしない。