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大阪で出会った“いかにも昭和”な中華料理屋 「40年以上前から同じ」ラーメン550円は正統派の味だった!

大阪で出会った“いかにも昭和”な中華料理屋 「40年以上前から同じ」ラーメン550円は正統派の味だった!

B中華を探す旅――大阪「香港」

2024/03/27

genre : ライフ, グルメ

note

 厨房には、ふたりの男性。どちらも無言でストイックに、ひたすらキビキビと仕事をこなしている。頭部はタオルで覆われ口元もマスクで隠れているので見えにくいが、おそらく恰幅のよい50代くらいの男性が主人なのだろう。あとで話を伺いたいが、いかにも頑固そうなので声をかけづらい。そこで最初はもうひとりのほう、息子さんのようにも見える男性に話しかけて様子を見てみようか。

ビールと餃子が到着

 すぐにビール(とノンアルコールビール)が運ばれてきて、やがて餃子もお目見え。いい感じに焦げ目がついた餃子は、なんと8個。ニンニクの効きもよく、ビールと相性抜群だ。続いて届いたブタ天もボリューム満点で、カリッとした食感もたまらない。もう、これだけで間違いない店だとわかる。

 
 

 こうなると、やはり店主にお話をきいてみたいもの。ところが、ちょうど届いたラーメンを食べ始めたとき、友人の口から衝撃的なひとことが。

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「店主、どっかへ行っちゃいましたよ」

 慌てて目をやると、外に出ていく店主の後ろ姿。しまった。こうなったら、もうひとりの若そうな人にアタックしてみるしかないだろう。とりあえず奥様に、消えてしまった店主のことを尋ねてみる。

「さっき出ていかれたお父さんは……」

「従業員です」

「えっ」

「まあ、大概の人は間違えます(笑)」

予想外の答えにびっくり

 

 予想外の答えが返ってきたので思わず絶句。しかも「親子なんですか?」と聞けば「(もうひとりの方と)同じ年です。58歳です」と、これまた意外な。つまり、息子さんかと思っていた男性が店主だったわけだ。このあたりで、その店主の池田卓史さんが話に加わってくる。

 伺ったところ、“前の親方”が近所の北恩加島(きたおかじま)という地域でやっていた店がここのルーツらしい。