大阪で出会った“いかにも昭和”な中華料理屋　「40年以上前から同じ」ラーメン550円は正統派の味だった！

「休日は野球の人らがバーッと来て…」

　入り口脇にアルミ製の出前ケースが4つ、バイクのヘルメットが3つ並んでいるのも、出前全盛期の名残りなのだろう。

「昔は出前だけで4人おったです。バイク3台しかないのに、出前は4人おったです（笑）。それこそ40年以上前ですね。このへんは、ほんまに店がなかったんです。まったくなくて。それこそスーパーもなかったから」

　たしかに、お世辞にもロケーションがいいとはいえない。移転しようと考えたことはなかったのだろうか？

「あるんですけど、いま、ここは親方に家賃を払ってるから。借りてる状態なんです。けどまあ、（ここでも）ええかなあと思って。あんな座敷でも、土曜日とか日曜日になったら野球の人らがバーッと来て、小さい宴会をやってくれる。それはそれでいいかなあと」

　京セラドーム大阪にほど近い。野球のあとでこういう店に寄れたら、話はさらに盛り上がるかもしれない。

　奥様との間には、子どもが3人。上と下が女の子で、真ん中が男の子。25歳だという息子は、四国で別の仕事をしている。

「まあ、うちの息子らには別にしなくていいとはいうてあるんです。自分で好きなことをしとったらいいと」

　そろそろ15時になろうというころ、常連さんらしき5、6人の男女が入ってきて奥のテーブルに並んだ。聞けばご主人が、池田さんと同級生なのだという。

　当分の間は後継者問題に悩むこともなく、地元の店としてこうして続いていくのだろう。なにしろ池田さん、まだ58歳。この連載でお会いしてきた店主の大半が70代だったことを考えると、まだまだ若手なのである。

「身体がどこまでできるんかわからへんけど、結局、たぶん死ぬまでやってるんやろうなと（笑）」

あなたにはこちらもおすすめ！

大阪城北詰で40年続く“看板のない中華料理屋”　思いの詰まった「450円のラーメン」が味わい深かった！

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。