強いていえば、最寄り駅は大阪環状線の大正駅。ただし実際には、「最寄り」と表現することがはばかられるほど遠い。駅を背にして大正通を南に1.5キロほど進み、大正区役所近くの千島交差点からひとつ南の信号を西に約300m先を入った住宅街にポツンとあるのだ。大阪シティバスを利用した場合は、大正橋で大正区役所方面に乗って千島で降りることになる。
などとわかったようなことを書いてはいるが、こちとらまったく土地勘のない東京人。種明かしをすれば大阪の友人に車を出してもらい、「場所、全然わかんねーなー」などと無責任なことを思いつつ、助手席から外を眺めていたのだった。そしたら自動的に到着した。なんとも友情とはありがたいものである。
頭上には赤い看板が
堂々とした店構えだ。頭上には、「香港」と書かれた赤い看板。古く茶色いレンガ模様の壁が昭和の匂いを感じさせる。右側の大きな陳列窓に、商品サンプルではなく大きなメニューが飾られているあたりも味わい深い。すぐ横にはスーパーカブが停まっているので、出前もしているのかもしれない。
店内は予想以上に広い。左側の厨房前にカウンター席が並び、中央部分には4人がけのテーブル席が4卓。さらに右側には座敷席も2卓あるので、30人くらいなら余裕で入れそうだ。
真っ赤な天板が気分なテーブル席に座ってすぐ目についたのは、醤油やソース、酢などの調味料を置くスペースにもなっている低い衝立。そこには「ヤングマガジン」などの漫画雑誌がきれいに並べられていた。こういう気配りができる店は、きっと信頼できる。
とりあえず注文を
とりあえずは餃子、ブタ天、そしてビールを奥様とおぼしき女性に伝える。それから数十秒後には、運転手役の友人が、「あと、ノンアルコールビールも」と追加。気持ちはわかるぞ。
なお友人によれば、やきめしがこの店の売りらしい。それでは、ということで小中大と3種あるなかから小を選び、ついでに唐揚げも追加注文。さらに最後には、締めのラーメンを頼もうということになったのだった。ずいぶん頼んじゃったなー(友人は大食漢なので安心だ)。