ここは、いったいどこなのだろうか。文字通りに捉えれば、そりゃあもちろん千葉県であります。でも、町のすぐ西側を流れる江戸川の向こうはもう東京都。かといって、町の北の外れから橋を渡ると埼玉県だ。常磐線に乗ってそのまま都心から離れると、柏という町を経て利根川を渡り、すぐに茨城県に入る。市内を南北に貫く武蔵野線は、北に行けば浦和や越谷、南に行けば船橋へ。
まるで松戸という町は、千葉県にありながら東京でもあり、埼玉でもあり、茨城でもあるような、地図で見る限りは実に不思議な場所にある。いったい、どんな町なのだろうか。
常磐線&新京成線“ナゾの千葉第3の町の駅”「松戸」には何がある?
千葉県松戸市。約50万の人口を抱える千葉県第3の都市の玄関口は、もちろん松戸駅だ。松戸駅には、JR常磐線と新京成線が乗り入れている。
このうち、新京成線はやたらくねくねとカーブを繰り返しながら下総台地を走り、松戸と津田沼を結んでいる。沿線にはマンモス団地が建ち並び、松戸市のベッドタウンとしての側面を支えている路線だ。都心方面には通じておらず、どちらかというと地域輸送専業のローカル線といっていい。
対して、常磐線は実に松戸である。松戸といったら常磐線、常磐線といったら松戸。一方的かつ偏見に満ちた見解を披瀝すれば東京都民から見た常磐線のイメージはだいたい松戸だし、松戸のイメージもだいたい常磐線である。いくらなんでも言い過ぎではありますが、まあそれくらいに松戸という町は常磐線に支えられていることは事実だ。
そんなわけで、常磐線に乗って松戸にやってきた。東京都心、東京駅からは常磐線直通の上野東京ラインに乗って約30分。千葉県都である千葉市と比べてもよほど近い。
だから、というわけでもないだろうが、とにかく松戸駅は賑やかな駅だ。西には江戸川、東には高台の丘陵地があってそれらに挟まれた狭小な土地。そこに南北に線路が走って松戸駅があり、それを取り囲むようにして松戸の中心市街地が広がっている。