「卒業式でA子の代わりに兄が壇上に上がって卒業証書を受け取りました。情報を寄せてくれた保護者さんは、それを見て『伝えなきゃいけない』とPTAの会長が作成したGoogleフォームから連絡をくれたんです。『ころしかたノート』について学校からは何も聞かされておらず、すぐに学校に確認しました」(母親)
学校が「ころしかたノート」の存在を知ったのは、卒業式の3週間ほど前だったという。A子さんの同級生の保護者が担任教師に提出していたが、学校はその事実を遺族に伝えていなかった。
「なぐりたいだけなぐる」「目をえぐる」「さいごに包丁でめったざし♡」
しかし学校側は「ころしかたノート」の存在は認めたものの、遺族に見せることを拒んだ。
A子さんの両親は諦めず、裁判所に証拠保全の申立てをしてついに「ころしかたノート」の内容が明らかになった。
このノートはもともと「推しノート」と言われ、子供が好きなものを自由に書くものだった。その中に「A子の こ・ろ・し・か・た♡」というタイトルがかかれた部分がある。
「おさえつける」「なぐりたいだけなぐる」「自作イレズミ」「つめをはぐ」「目をえぐる」「さいごに包丁でめったざし♡」など、9パターンの「ころしかた」がイラスト付きで並んでいた。「ブス」などの罵倒の言葉も書かれている。
『ノート』は全部で30枚ほどあったようだが、そのうち6枚は破り取られており、遺族側が入手したのは2ぺージ分だけだった。
「我々の知らないところで、そんな恐ろしいものが学校に提出されていました。何が書かれているのか、いじめの詳細を知るためにも重要な証拠に決まっているのに、学校はなぜ私たちに隠していたのでしょう……。
裁判所に証拠保全の申し立てをして、弁護士さんからLINEをもらったときには夫婦で一緒にいました。『驚かないでくださいね』と書いてあったので車を駐車場に停めてから写真を見たんです。びっくりしました。こんなものがあるなんて……」(父親)
その後、A子さんの両親は文部科学省内で会見を開くなどして事実の解明を求めた。後に町田市長直轄の調査委員会が設立され、24年2月に報告書が発表。その中で、複数のいじめの事実が認定されている。