厳しくなるのは目に見えていたのに…
違った問題点として、開発の大規模化がある。仮にゲームの売上が落ちていたとしても開発費をペイできていればなんら問題ないのだが、「リバース」に関してはどうも逆方向のようなのだ。
「リバース」の公式サイトには開発スタッフのメッセージが掲載されており、そこには物量に対して苦労した話が掲載されている。なかには「(開発)後半の1年半はゲーム制作以外の記憶がない」と語る人もおり、楽な開発ではなかったことが窺える。ボイスアクターは海外版を含めると1000人以上もいるそうで、ただただ驚くばかりだ。
実際、本作を遊んだ私も非常にリッチなゲームだと感じた。広大なオープンワールドが複数用意されているうえ、ミニゲームも豊富で、仲間キャラクターごとに動きのみならず戦い方まで差別化されている。ムービーもいちいち豪華だし、ストーリーの進行具合に応じて仲間のセリフまで変わったりもする。確実に前作以上の出来だろう。それでも手が届いていない部分があるのだから、どれほど大規模なのか。
開発費の高騰にどう向き合うか
ビデオゲームが高解像度のゲーム機で開発されるようになったころから、開発費の高騰はしばしば問題視されていた。にもかかわらず、「リバース」はそれに真正面から挑んだのだ。
続きものであり逆風なのは目に見えていた。それでも、スクウェア・エニックスは、あえて労力(≒お金)をぶちこんで勝負したのだ。それだけに売上がシリーズ前作より60%以上落ちているというのは厳しい状況だろう。
もっとも、参照した販売本数はあくまで初週のものである。前作は世界累計700万本を達成しているし、長く売れるのであれば累計販売本数も伸びていくと思われる。
なお、ファミ通の国内パッケージ版集計によると、「リバース」の2週目販売本数は2万4482本(初週約26万本)。近年の『ファイナルファンタジー』シリーズは2週目で販売本数が大幅減する傾向があるとはいえ、右肩下がりを避けるためには、新たなユーザー層を開拓できるPC版の登場が期待される。
いずれにせよ、難しい環境に自ら突っ込んでいきながら、開発費を投じ、リッチに作り上げたという点で「リバース」は稀有なゲームである。はたしてその結果はどうなるのか、そして3作目の仕上がり、売上はどうなるのか。
『ファイナルファンタジー』が注目を集めるゲームであり続けることは間違いないだろう。