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2008年の公開時も大ヒットだったが…なぜ福山雅治vs.堤真一の『容疑者Xの献身』は「2024年のほうが“胸に突き刺さる”」のか

2024/03/23

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, テレビ・ラジオ

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 他にも、テレビ化がきっかけで生まれた発明といえば、正義感が強く、女性ならではの勘と理論で容疑者を割り出す一方、突っ走りがちな相棒・「内海薫」(柴咲コウ)。また、湯川と内海との軽妙かつ珍妙なやりとりとバディとしての信頼感、恋愛要素が非常に少ないことも、今観ても新鮮である。

映画版随一の人気作『容疑者Xの献身』

 一方、ドラマ版から一変して、重厚なヒューマンドラマを描くのが映画版で、なかでも興行収入49.2億円というヒットを記録し、最大の人気作となっているのが『容疑者Xの献身』だ。その内容を簡単に紹介しよう。

『容疑者Xの献身』完成披露会見に出席した堤真一、福山雅治、柴咲コウ(2008年9月) ©時事通信フォト

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 顔が潰され、指を焼かれるという残忍な殺人事件が発生。新人刑事・内海はいつものように天才物理学者で通称“ガリレオ”の湯川に捜査協力を依頼する。しかし、内海が被害者の元妻・花岡靖子(松雪泰子)のアリバイを確認していたある日、その隣人が帝都大学准教授の湯川と同じ帝都大学出身者であることを知る。しかも、その男は石神哲哉(堤真一)で、湯川の友人だった。高校で数学教師をしている石神は、湯川が「俺の知る限り本物の天才」と称する男で、湯川はかつて唯一理解し合うことが出来た友人が事件の裏にいるのではないかと推理する。

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