「東京ブギウギ」などのヒット曲で知られ、「ブギの女王」の異名をとる笠置シヅ子をモデルに、主人公・福来スズ子(趣里)の歌手人生を描いた「連続テレビ小説『ブギウギ』」(NHK総合)が、来週いよいよ最終週をむかえる。
前代未聞の「朝ドラ」
『ブギウギ』は、前代未聞の「朝ドラ」と言っていいだろう。出演俳優にとってもスタッフにとっても、ただでさえ朝ドラの撮影は過酷を極めるというのに、この朝ドラにはほぼ毎週、ステージのシーンがある。そしてスズ子の「歌」が、半年間の物語を通じてどんどん進化していったという点で、『ブギウギ』はドラマでありながら、さながらドキュメンタリーのようでもあった。
劇中最も多く登場し、そのたびに「楽しいお方も 悲しいお方も」という歌詞が違う味わいを伴って響いた「ラッパと娘」。弟・六郎(黒崎煌代)を戦争で失った悲しみと虚無感が胸に迫った「大空の弟」。戦後日本の復興ソングであり、スズ子自身の再起の歌でもあった「東京ブギウギ」。早口の大阪弁を見事な滑舌で歌いこなし、スズ子の歌唱力がネクスト・ステージに達したと思わされた「買物ブギ」。ベテランの円熟で観客を魅了した「ヘイヘイブギー」。ドラマとともに、歌手・福来スズ子の、そして俳優・趣里の成長を見せてもらえた半年間だった。
撮影期間は「しんどかった」
放送期間半年、撮影期間約1年、企画立ち上げから数えると約2年にわたる朝ドラ制作を終えた制作統括の福岡利武氏に率直な感想を聞くと、「いやもう、しんどかったです」と笑いながら、こう続けた。
「いろいろと挑戦が多い朝ドラだったのですが、キャスト・スタッフ、皆さんのお力で、私が想像していた何倍も素晴らしいものができたのではないかと、感無量です。第1話から最終話まで積み重ねて『歌の力』が描けたのではないかと思いますし、私自身もあらためて『歌の力』を痛感しています」
何がいちばん「しんどかった」のだろうか。