1ページ目から読む
5/5ページ目

「みんなそれぞれに、思いも事情も違う」というのは、このドラマがずっと大切にしてきたテーマだと言える。梅吉(柳葉敏郎)、六郎、アホのおっちゃん(岡部たかし)、ゴンベエ(宇野祥平)、小田島(水澤紳吾)など、「“枠”からはみ出した人たち」を見捨てない優しい視線が『ブギウギ』には貫かれていた。

「その部分は脚本の足立さんと櫻井さんがとてもこだわって、目指したところです。私もそこにとても共感しました。せっかくドラマだし、フィクションなんだから、そういう世界があってもいいのではないかと。偉いか偉くないか、裕福か裕福じゃないかが幸せの基準ではないということを、台詞ではないところで描きたいという思いがありました」

スズ子が育った大阪の「はな湯」は、「枠からはみ出した人たち」にも優しい場所だった ©NHK

「ズキズキ」とは何か?

 最後に、スズ子の代表曲「東京ブギウギ」の歌詞であり、このドラマでたびたび言及されてきた「ズキズキ」とは何かと聞いてみた。

ADVERTISEMENT

「『痛みを伴うところから生まれるもの』とでも言いましょうか。ドラマの制作現場もズキズキすることのほうが多いですしね(笑)。『スズ子は生きている』そして『歌う』ということの象徴でもあると思います。物語の最後に、スズ子が歌手を辞めるエピソードを持ってきて、スズ子のズキズキワクワクの『歌手人生』を描き切りたいと思いました。やはり、スズ子が歌を辞めるところがいちばん葛藤するし、ズキズキするところだと思いましたので」

“愛子とワテの歌”「ヘイヘイブギー」を「男女歌合戦」のトリで貫禄たっぷりに披露するスズ子 ©NHK

 最終週を前に、『ブギウギ』を見てきた視聴者に言いたいことは。

「半年間ご覧くださり、本当にありがとうございます。好きなように見て、好きなように楽しんで、感じていただければと思います。見ていただいた方それぞれの感想が、正解だと思っております。本当は『皆さんの心に残る朝ドラになれたら……』みたいなことを言ったほうがいいのでしょうけれど。あまりこういうところで、うまいこと言えないんですよね、私(笑)」