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結婚の準備を進めていた相手の失踪、10年前の初恋の記憶…俳優・佐藤健が「ものすごく熱量を持っていた」愛の物語

山田智和(映画監督)――クローズアップ

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 川村元気氏のベストセラー恋愛小説『四月になれば彼女は』が映画化される。監督を務めるのは、米津玄師「Lemon」、あいみょん「マリーゴールド」、宇多田ヒカル「Gold ~また逢う日まで~」など数多くのミュージックビデオを演出してきた山田智和さん。長編映画を手掛けるのはこれが初となる。

「ミュージックビデオとショートフィルムの仕事で川村さんとご一緒したのですが、その作品を川村さんが気に入ってくださって、この映画のお話をいただきました。原作者であり優れた映画プロデューサーでもあるので尊敬の気持ちが強かったのですが、川村さんが『監督の解釈で自由にこの物語を作って欲しい』と言ってくださったので、自分らしく向き合わせてもらいました」

山田智和監督

 精神科医の藤代俊(佐藤健)のもとに、かつての恋人である伊予田春(森七菜)から手紙が届く。ボリビアのウユニ塩湖から出されたその手紙には、10年前の初恋の記憶が綴られていた。一方、藤代は坂本弥生(長澤まさみ)との結婚の準備を進めていたが、弥生は突然、姿を消す。春はなぜ手紙を送ってきたのか。弥生はどこへ消えたのか。恋も愛も、やがては消えていってしまうのか――。

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 藤代を演じる佐藤さんは、脚本会議から参加したという。

「佐藤さんがもともとこの原作小説をお好きで、原作に対してものすごく熱量を持っていたので、会議でも藤代を演じる目線で意見を言ってもらいました。原作の藤代はいい意味で情報量が少なく、何を考えているのか掴めない。そういうところが逆に人間っぽいのですが、演じるのはとても難しい人物です。そんな藤代の微妙な情感をどう見せるか。佐藤さんとは、会議でも現場でも、とても繊細なやり取りをさせてもらいました」

 学生時代の恋人・春を、森さんは瑞々しく、また力強く演じた。

「撮影初日は藤代と春の学生時代のシーンでした。2人の空気感を探りたくて、脚本にはない、シーンの間を埋めるようなシーンから撮影を始めたのですが、それが思いのほかとてもいいものになったので、使わせてもらいました」

3月22日(金)全国東宝系にて公開 ©2024「四月になれば彼女は」製作委員会

 一方長澤さんは、愛する人を前にして抱える不安や脆さ、愛を見つめ直す苦悩とその先にある強さを感じさせる。

「原作に一番出てこないのが弥生です。藤代のもとを去った彼女は、何を求めてどこへ行ったのか。これは映像化するに当たって、原作から僕らへの問いでもありました。“愛とは何か”という問いが存在するとするならば、この作品は、一つの答えを押し付けることなく、いろんな角度から愛の意味を探し続けている人たちの物語だと思っています」

やまだともかず/1987年生まれ。日本大学芸術学部映画学科映像コース卒業。米津玄師・あいみょん・サカナクション・藤井風・宇多田ヒカルなどのミュージックビデオや、NIKE・JORDAN・TOD'S・PRADAなどの広告映像、ショートフィルムなどを数多く手がける。今作で初の長編映画監督を務める。

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映画『四月になれば彼女は』
3月22日(金)全国東宝系にて公開
https://4gatsu-movie.toho.co.jp/

結婚の準備を進めていた相手の失踪、10年前の初恋の記憶…俳優・佐藤健が「ものすごく熱量を持っていた」愛の物語

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